2015 Fiscal Year Annual Research Report
原子膜ヘテロ構造系における境界面効果による新奇量子現象の理論的研究
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15F15022
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
若林 克法 関西学院大学, 理工学部, 教授 (50325156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DENG HAIYAO 関西学院大学, 理工学部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2016-03-31
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Keywords | グラフェン / 原子膜 / トポロジカル絶縁体 / プラズマ波 / 遅延効果 / テラヘルツ |
Outline of Annual Research Achievements |
炭素原子だけからなる一原子層膜「グラフェン」の発見以降、六方晶窒化ホウ素(h-BN)や、二硫化モリブデン(MoS2)に代表される遷移金属ダイカルコゲナイド系シートなど、原子スケールの厚みしかもたない原子膜の研究が活発に行われている。本研究課題の目的は、様々な原子膜ヘテロ構造系デバイスにおける境界面効果に着目し、そこで期待される新しい物理現象の発見、さらにそれらを利用した新しい動作原理に基づくデバイスの提案を行うことである。 平成27年度は、種々の2次元原子膜におけるプラズマ波の遅延効果に着目し、理論解析をおこなった。2次元電子系のプラズマ波の分散関係は、遅延効果によって、長波長極限(q->0)において、√q の依存性から線形へとクロスオーバーすることが知られている。しかし、通常このクロスオーバーが起きる波数qは、とても小さい値であるため、実験的に観測するのは困難とされてきた。我々は様々な1次元および2次元電子系について、プラズマ波の遅延効果を系統的に調べ直し、高品質のグラフェンではこのクロスオーバーが実験的に観測できる可能性を示した。これはグラフェンの線形分散によるものであるが、同じ線形分散をもつトポロジカル絶縁体では内因的な乱れによる散乱が強く、観測は難しいと考えられる。このことから、グラフェンがテラヘルツ素子応用への最適な材料の一つであるということが理解される。本成果は、Physical Review Bに出版された。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)