2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15F15302
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
桂島 宣弘 立命館大学, 文学部, 教授 (10161093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHIM HEECHAN 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-11-09 – 2018-03-31
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Keywords | 東アジア史学史 / トランスナショナル / 植民主義歴史学 / 京城帝国大学 / 日韓神話研究 / 一国史 / 実証主義 / 東洋史研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年11月から研究活動をスタートし、主に「東アジア史学思想史研究会」を中心に日韓の研究者を招いて8回の研究会を行った(11月6日、11月21日、12月4日、12月18日、1月8日、1月23日、1月27日、1月29日)。研究分担者は、これらの研究会を企画・運用すると同時に、自らも研究成果を発表している(1月23日)。とりわけ、1月23日の研究会では、韓国から3人の研究者を招いて「東アジアの史学史を問う」というテーマで議論を交わす場を設けた。当日は、内藤湖南の間島調査と東洋文化研究、朝鮮王朝史研究に対するトランスナショナルな問題提起、朝鮮総督府の朝鮮史編修試案をめぐる報告があり、また研究分担者は、日韓神話研究の先駆者でもある三品彰英の作業とファシズムの関係を分析する発表を行った。何れも既存の一国史や実証主義的観点を批判する立場に立っていて、さらに植民地主義の問題をも視野に収めるものであり、「東アジア史学史」という観点に相応しい内容であったと思われる。 また、2016年3月26日には、研究分担者とともに韓国・漢陽大学で開かれた「植民主義歴史学を考える」シンポジウムに参加し、研究成果を発表する機会を頂いた。そのシンポジウムを組織した主なメンバーは、1月23日の立命館大学での研究会に参加した方々である。日韓の間で「東アジア史学史」の問題意識を共有しながら、両言語で問題提起および議論を行うことができた。立命館大学での研究会と韓国・漢陽大学でのシンポジウムの成果は、2016年度の秋に韓国で単行本として公刊される予定である。 その他、韓国の国会図書館などで課題に関する史資料を収集・複写し、その読解・分析を行った。とくに京城帝国大学(現・ソウル大学)関係の史資料を多く集めた。今後、上記の研究者たちとの共同企画を植民地における帝国大学と東洋史研究というテーマで行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
同様な問題意識を共有している韓国の研究者たちと知り合うことができ、また共同研究を行い、その成果を公刊することができた。とりわけ、日本と韓国で同様のテーマで研究会やシンポジウムを開催したことは、研究を大いに進展させたと考えている。そして日中韓の研究者を招いて行う「東アジア史学思想史研究会」に対する回りの関心が高くなり、参加者が相当増えたため、多様な意見交換が可能な場となりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、立命館大学を拠点にして近代歴史学を「東アジア史学史」の観点から捉え直していく作業に邁進する。昨年度の報告についての論文執筆を実施し、編著の出版にも務める。また、研究分担者は後期に台湾政治大学での研究報告・史料調査を実施することが決定しているので、当該テーマに関わる台湾側の研究者との意見交換や資料の把握を行うこととしたい。とりわけ、本研究の拠点となる「東アジア史学思想史研究会」を定期的に開催することを通じて、日中韓の研究者たちが意見交換を行う場を作っていきたい。すでに2016年12月まで6回ほどの研究会を予定していて、戦前から現代に至る多様な時代の史学史を議論する計画を立てている。
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Research Products
(5 results)