2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15F15304
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
竹越 孝 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (10295230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHEN XIAO 神戸市外国語大学, 外国語学部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-11-09 – 2018-03-31
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Keywords | 中国語 / 清代 / 中華民国 / 北京語 |
Outline of Annual Research Achievements |
中華人民共和国の樹立後に制定された標準語は、北京方言を基礎としたものであるため、学界では長らく北京語=標準語という意識が存在し、北京語の方言的独自性を析出しようとする意識に乏しかった。しかし、実際の北京語は標準語と異なる点が数多く観察され、特に清代後期から中華民国期に至るまでの北京語(近代北京語)は、標準語に継承されていない多くの独特な要素を有している。本研究の目的は、日本に所蔵される北京語の資料、たとえば小説、民間芸能、満(蒙)漢対訳文献、中国語教科書等を活用し、近代北京語の音声、語彙及び文法についてその機能や特徴、変化の過程や原因等を解明することである。 平成28年度の課題は、昨年度に引き続き先行研究の把握と、日本に所蔵される近代北京語資料の調査・収集に努めることと共に、それらの資料に対する整理と分析を行うことであった。また、日本所蔵の近代北京語資料が世界の中でどのように位置づけられるのかという問題を解明するため、他の国に所蔵される近代北京語資料との比較にも目を向けた。 研究分担者は、本年度明治時代の中国語教科書である福島安正『四声聯珠』についての整理と注釈を完成させ、中国での出版に漕ぎ着けたほか、清代後期から使われ始めた副詞の「挺」について、文献に登場した時期を確定させるともに、その文法化の原因を分析した論文を執筆した。 また、研究代表者と研究分担者の間で進めている日本所蔵の清代満漢対訳文献に関する共同研究の成果として、満洲語の助詞dabalaと中国語の文末助詞「罷了/罷列」の相互関係を分析した論文を執筆するとともに、満洲語と中国語が混在する形を持つ説唱文学の作品である子弟書『Katuri Jetere』について、現存諸版本を校合し、満洲語のローマ字転写と翻訳を含む校注テキストを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究分担者は、日本に所蔵される北京語の資料を活用して、近代北京語の音声、語彙及び文法を分析した論考を発表するとともに、研究代表者との間で進めている共同研究においても、独自性の高い成果を上げているため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、日本に所蔵される北京語の資料を使用して、近代北京語における特殊性の背景と原因、通時的変化の過程及びその規則性等についての分析を行う。また、研究代表者との間で進めている日本所蔵の清代満漢対訳文献に関する共同研究においても、成果を共著の形でまとめていく。
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Research Products
(6 results)