2015 Fiscal Year Annual Research Report
ベクトル束理論を通じた超局面に沿った対数的ベクトル場の自由性と安定性の研究
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15F15318
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲場 道明 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80359934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PONS-LLOPIS JOAN FRANCISCO 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-11-09 – 2018-03-31
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Keywords | 超平面配置 / ACM層 |
Outline of Annual Research Achievements |
Pons-Llopis氏は、阿部拓郎氏、Jean Valles氏との共同研究において、超平面配置の自由性理論の拡張として、曲線配置、曲面配置への一般化を試みた。これは多くの困難を伴うが、ある種の反射層を考えることが重要であること、Serre構成法が重要な例を与える可能性をつきとめることができた。一方、超平面配置に付随する対数的ベクトル場を構成する理論の高次元化にも取り組み、ある種の高次順像の非消滅の克服が本質であることをつきとめることができた。 以上、超平面配置理論の代数幾何的アプローチは、うまく行っている側面と、複雑な困難に直面している側面があるが、拡張の代数幾何的アプローチがうまく行ったと仮定した場合、Pons-Llopis氏が従来から研究しているACM束やUlrich束の理論を駆使することが有用であると考えられ、ACM束のさらなる研究を進めることができた。 Pons-Llopis氏はBallico, Huh, Malaspina氏との共同研究において、通常ACM束は既約代数多様体上で考えるところを、2重の重複射影平面上のACM層を考え、その分類を与える論文をpreprintとして完成させ、math arXiv に発表することができた。一方、Marchesi, Malaspinaの両氏と旗多様体F(0,1,2)上のinstantonを用いた共同研究を始め、その結果として、この旗多様体上のヒルベルトスキームのjumping conicsの構造が3次元射影空間上のjumping linesの構造と同種の役割を持つことを発見した。 Pons Llopisは、2016年2月にメキシコに出張して国際学会にてACM層に関する研究結果の発表を行った。また、2016年3月にフランスに出張し、Faenzi氏との議論により研究発展が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超平面配置の自由性理論の拡張である曲線配置、曲面配置については、反射層の考察、高次元化については、高次順像の考察の重要性をつきとめることができた。このことから、形のある結果とはなっていないものの、超平面配置理論の拡張においてACM層の理論の重要性を確信することができ、実際に純粋なACM層の研究結果としてBallico, Huh, Malaspinaとの共著論文となる重複射影平面上のACM層の分類の結果をpreprintの形にすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
既に取り組んでいるMalaspina, Marchesiとの共同研究である旗多様体上のinstanton束のモジュライ空間の研究を論文にまとめて結果にしたい。一方で、九州大学に赴任した阿部拓郎氏と本格的に超平面配置理論の拡張の研究に取り組むべく、機会を見て九州大学に研究打ち合わせ等の出張をする予定である。一方で、交代で受入教員となった稲場氏のもとでは、射影空間上の連接層の導来圏と箙表現の導来圏の圏同値に着目して新たな研究の展開を模索したい。
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Research Products
(2 results)