2016 Fiscal Year Annual Research Report
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15F15324
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々 真一 京都大学, 理学研究科, 教授 (30235238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DECHANT ANDREAS 京都大学, 理学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-11-09 – 2018-03-31
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Keywords | 統計力学 / ゆらぎ / 非平衡 |
Outline of Annual Research Achievements |
平衡状態では作動しないが、そこにわずかでもガウス白色ノイズが加わったときに作動するマシンをデザインした。細胞内で働くマシンは非平衡環境下で作動すると考えられ、非平衡環境のモデルとして、非ガウスノイズや有色ノイズなどが考えられることが多い。しかしながら、もっとも典型的なノイズはガウス白色である。熱浴からのゆらぎもガウス白色なので双方を合わせてもガウス白色になる。その強度が変更されるだけなので、一見すると、マシンとして機能することはないように思える。ただし、一般論としては、そのようなことはなく、ガウス白色ノイズであっても、熱ゆらぎの他に加わった場合には、詳細つりあいが破れるのでマシンとして昨日することもあるはずである。そこで、このような具体例を構築することを目指した。 実際、内部自由度(例えば、粒子の大きさ)があってそれが切り替わるような模型を考える。ただし、その切り替えそのものは平衡ゆらぎと矛盾なく決められており、平衡条件下でマシンとして働くことがない。ところが、そこにガウス白色ノイズが加わるとマシンとして働くことを示すことができた。時間スケールの差を使った別方向の摂動論を使い、定量的な計算も行った。さらに、エネルギー変換効率などの議論を行った。以上の結果を論文にまとめPhys. Rev. E に投稿し、掲載された。 また、関連する問題として、ある非平衡ゆらぎの状況における統計量を計算しているが、現在検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
該当課題に関して論文掲載までできたのは良かった。ただし、当初に予定していた、効率に関する議論や第2法則の拡張と関係する議論については、各論レベルに留まっており、次の発展を待っている段階である。また、実験との共同研究については、当初計画していた課題は保留中である。全体としては、想定の範囲で研究がすすんでいるといってよいだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
効率に関する議論については、最近提案されているいくつかの不等式の理解を進めることを鍵にして研究をすすめる。非平衡ゆらぎについては、計算方法の整備を行うことで全体の見直しをする。実験との共同研究については、細胞内モデルを考えるのでなく、特定の分子モーターの実験結果に関する解析に焦点をあてて考察をすすめていく。残り6ヵ月であり、次の研究につながる試行錯誤を続けたい。
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Research Products
(6 results)