2016 Fiscal Year Annual Research Report
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15F15330
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐野 有司 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (50162524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LAN ZHONGWU 東京大学, 大気海洋研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-11-09 – 2018-03-31
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Keywords | 環境変動の復元 / 生物の進化 / 年代測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究分担者に出産・育児に係わる中断期間(4ヶ月)を設けたため、研究期間は8ヶ月だった。研究期間は短縮したが、当初予定していた通りエディアカラ紀-カンブリア紀境界の堆積物中から化石や鉱物を選別し、二次元高分解能二次イオン質量分析計(NanoSIMS)でウラン-鉛年代測定を行うためのサンプルを選定する作業を行った。また、NanoSIMSでの分析に適した堆積物の鉱物・化石をさらに入手するため、中国(湖北省、雲南省など)でエディアカラ紀-カンブリア紀境界堆積物のサンプリングを行った。これと並行して堆積物中から抽出した有機物の炭素・窒素同位体比の分析に取りかかった。 NanoSIMSでの分析に先立ち、カンブリア紀後期堆積物の凝灰質シルト岩から選別したジルコンのウラン-鉛年代を二次イオン質量分析計(SIMS)で測定した。また、黒色頁岩のニッケル、モリブデン、白金族元素(PGE)および希土類元素(REE)の定量分析を行った。測定結果から、ニッケル-モリブデン-PGEに富む鉱物はエディアカラ紀-カンブリア紀境界とは異なるおよそ5億3千年前に貧酸素状態の深海で形成されたと推定された。また、微量元素と有機炭素の含量に正の相関が認められ、当時の海洋生物がPGEの濃集・堆積過程において重要な役割を担っていた可能性が示唆された。 今年度の研究実績から、エディアカラ紀-カンブリア紀境界付近の海洋環境に関する知見が得られ、生物進化の歴史に制約を与える研究に資する成果が得られた。 これらの成果は論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間は短縮したが、当初予定していた通りエディアカラン堆積物から化石や鉱物の選定を行った。また、昨年度から引き続き他の研究者の作業を見学し、ウラン-鉛年代測定の手法を学んだ。堆積物中の炭酸塩鉱物と有機物の炭素同位体比を測定するための前処理方法を試験し、エディアカラン堆積物中の炭酸塩鉱物と有機物の炭素同位体比の分析に取りかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、エディアカラン-カンブリアン境界堆積物に含まれる有機物の炭素・窒素同位体比の測定を進める。また、平成28年度に新しく入手した試料を含めて、エディアカラン-カンブリア境界堆積物中の保存状態が良くNanoSIMSを使った年代測定に適したサンプルを選定し、年代測定を行う。
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Research Products
(2 results)