2015 Fiscal Year Annual Research Report
安定同位体比を用いた熱帯・亜熱帯地域マングローブ樹種の林分構造発達様式の復元
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15F15389
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大澤 晃 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (90288647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KAMRUZZAMAN MD. 京都大学, 地球環境学堂, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-11-09 – 2018-03-31
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Keywords | マングローブ / 林分構造発達 / 安定同位体 / フェノロジー / 沖縄 / Sundarbans / 純一次生産量 / 細根動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、酸素及び炭素安定同位体比分析を用いて、アジアにおけるマングローブ林樹種個体の成長履歴および林分構造の変遷を推定することができるかどうか明らかにするとともに、同位体分析以外の手法も同時に用いて、マングローブ林構成樹種のフェノロジー、林分成長、森林生産量、および林分構造変化の各変数が、気温、降水量、大気湿度などの環境要因と定量的な関係を持つかどうか明らかにすることである。これにより、同位体分析と環境要因の二つの観点から、これら成長輪を持たない樹種から構成される森林の過去の構造とその変遷推定の可能性を探る。そのため、採取した幹サンプルの同位体分析とともに、現存するマングローブ林数か所において、構成樹種のフェノロジーや森林生産量などを直接推定し、環境要因との定量的関係を吟味する作業を同時進行で行う計画である。 本年度は沖縄・漫湖湿地にあるマングローブ林にすでに設置済みの調査プロットでの森林生産とフェノロジー測定の作業を開始するとともに、バングラデシュ・シュンダーバンズ地域に5プロットのマングローブ調査区を設定した。プロット内の毎木調査を実施するとともに、各プロットに5個ずつリタートラップを設置し、森林生産量推定作業を開始した。今後、約2カ月に一度ずつ現地を訪れ、サンプリングを継続的に行って、季節変化を含む森林の成長と生産様式を測定する計画である。 沖縄・漫湖湿地のマングローブ林から収集した酸素同位体比分析用試料があり、この解析を進めている。また、幹の材への高電圧マーキングと放射性同位炭素分析による材の年代測定を併用して、幹の成長パターン解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに沖縄とバングラデシュに調査プロットを設置することができ、林分測定・幹の材サンプル採取、森林生産量測定等を開始した。今後、定期的な現地調査を継続する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
沖縄とバングラデシュの複数のマングローブ・プロットにおける森林生産量測定を定期的に継続実施する予定である。両者とも2か月おきのサンプリングを計画している。バングラデシュのサイトについては遠隔地であり頻繁な訪問は難しいので、約半分の現地調査は現地研究協力者に依頼して行う。沖縄のサイトにおいてはすでに細根動態測定を行っているが、バングラデシュの調査地でも、今年度から細根動態推定用の土壌コアサンプル採集と細根分析を開始する。また、沖縄、バングラデシュ両者とも、今年度調査プロット内の代表的な樹木個体に幹の成長バンドを取り付け、幹肥大成長季節変化の測定を開始する。
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Research Products
(2 results)