2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15F15703
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上田 正仁 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70271070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
EBLING ULRICH 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-07-29 – 2017-03-31
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Keywords | 冷却原子 / ダイポール気体 / スピノール気体 |
Outline of Annual Research Achievements |
冷却原子分野の最近の進展、特に、実験的進展に対応するために、当初計画のうち、2年度に行うことを計画していた項目を最初に行った。具体的には、ランタノイド系の原子の冷却原子気体のダイナミックスの研究を行った。この系は強い磁気的ダイポールを有し、非当方的かつ長距離の磁気的相互作用によって特徴づけられる。この研究の主な着眼点は、磁気的ダイポール相互作用によってスピンと軌道の自由度が結合することにある。この系を調べるために、コンタクト相互作用及びダイポール相互作用の完全なスピン依存性を取り入れ、また、外部磁場や調和振動子トラップポテンシャルの効果も取り入れた運動学的方程式の導出を行った。そして、このようなシステムを2次元系で数値シミュレーションするために数値コードを作り、時間発展を計算した。 数値データに基づいて、ネマチック秩序の出現とそのダイナミックを調べ、それがフェルミ面の変形に及ぼす効果および、より複雑な空間パターンの出現に対する影響を調べた。特に、ダイポール気体の特徴であるアインシュタインード・ハース効果がネマティシティの効果を取り入れることによっていかに拡張されるかについて調べた。その結果、スピンのネマティシティと軌道のネマティシティが互いに相関をもって時間変化するというエビデンスが得られた。また、そのようなダイナミックスに伴ってスピンテクスチャに特徴的な空間パターンが発現することがわかった。この研究は現在進行中であり、まとまり次第出版作業に取り掛かる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように、実験研究の進展を鑑みて、当初計画では2年度目に計画しておいた事項の研究を開始した。大きなスピンおよび長距離相互作用をする非等方的なスピノール気体を数値的に取り扱うことの困難なために、数値コードの作成には時間を要したが、計算結果は順調に仕上がっており、当初計画を遂行するために十分な時間が確保されている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画で1年目の課題として挙げていた項目のうち、これまで取り組んでいなかったテーマについて取り組む。特に、ランタノイド系の未知のs波散乱長を、スピンの分布の時間変化を長時間追うことで決定する方法の研究を開始する。この研究は実験的な観点からも重要である。更に、SU(N)対称性を持った相互作用をするフェルミ気体のペアリングの研究を行う。
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Research Products
(1 results)