2015 Fiscal Year Annual Research Report
藻類毒素発生の早期警報スクリーニング用のグラフェン電気化学的センサの開発
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15F15712
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古米 弘明 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40173546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHANG WEI 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-10-09 – 2018-03-31
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Keywords | 環境質定量化 / センシング技術 / 藻類毒 / 水道水源 |
Outline of Annual Research Achievements |
霞ヶ浦や印旛沼などの富栄養化した湖沼を水源として利用する場合には、藍藻類由来の毒素産生が懸念されている。ミクロシスチン(MC)は、世界的にも高頻度で確認されて藍藻毒であり、1998 年には世界保健機構により飲料水中のMC-LRの暫定基準値(1μg/L)が勧告されている。したがって、藍藻毒をアオコ発生とともに迅速に検出できること、浄水処理過程において挙動を把握できることは、富栄養化湖沼を水源とする場合に意義深いことである。 本研究は、グラフェンの高い電気伝導性を生かした電気化学的センサを用いて、MCの迅速検出を目指すものである。最終的には、MCの抗体を修飾させたグラフェン電極を作成して、MCを選択的に検出可能なセンサの作成を行い、その検出感度や応答性を評価することを目的としている。 本年度は、次の項目について研究を実施した。 1)藻類毒の発生やその組成にする文献調査 2)藻類毒の検出技術とグラフェン電極利用に関する文献調査 3)グラフェン電極の試作とMC抗体の修飾方法の検討を研究項目とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外だけでなく国内におけるミクロシスチンの発生やその消長に関する文献調査を行い、発生濃度レベルやその検出状況に関する知見を整理することができた。また、ミクロシスチンの検出技術の取りまとめを行い、グラフェンの高い電気伝導性を生かした電気化学的センサの可能性や留意すべき点について検討を行えたこと、そして、グラフェン電極の試作も終了したことから研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)試作した電気化学的センサのMC検出応答性を評価:異なる実験条件でMC抗体を修飾したグラフェン電極を用いて、純水に純物質のMCを溶かした検液に対するMC検出やその応答性を調べることが期待される。同時に、MC抗原抗体が修飾されていない部分をブロッキングすることにより、特異的な検出の向上があるかどうかを検討することも有意義であると考えられる。 2)湖沼水などの環境水中でのMC検出の検討:湖沼水などの環境水中には、純水とは異なり、共存有機物がセンサによる検出に影響を与えることが想定される。したがって、湖沼水中の夾雑有機物の特性を、UV254測定、三次元励起蛍光スペクトル法、高分解能フーリエ変換型質量分析などで把握しながら、検出感度や応答性への影響を調べることが有意義であると考えられる。
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