2015 Fiscal Year Annual Research Report
小笠原諸島と琉球列島に分布する外生菌根菌の集団遺伝学的研究
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15F15714
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
保坂 健太郎 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究主幹 (10509417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHEEDY ELIZABETH 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | 菌根菌 / 移入種 / 多様性 / 個体群 / 進化 / きのこ / リュウキュウマツ / 小笠原 |
Outline of Annual Research Achievements |
リュウキュウマツが自然分布する琉球列島のうち、奄美大島、沖縄島、石垣島、宮古島を対象に、リュウキュウマツと共生する外生菌根菌であるチチアワタケ(イグチ目ヌメリイグチ科)およびアカハツ(ベニタケ目ベニタケ科)の2種の子実体を集中的にサンプリングした。また、リュウキュウマツが人為的に移入された先である小笠原諸島の父島および母島においても、同2種のサンプリングを集中的に行なった。サンプリングにおいては子実体が10メートル以上離れて発生している場合に別個体とみなした。 最終的にはチチアワタケ200個体以上、アカハツ120個体以上を採集し、解析に用いた。全個体からDNAを抽出し、核ITS領域の塩基配列で同一種であることを確認した後に、RAPD法により近隣に発生していた子実体の個体識別を行った。その結果残ったDNAサンプルをピコグリーンにより定量し、かつバイオアナライザーにより定性した。DNAの質・量が十分であるものを次の解析に用いたが、DNAの収量が期待されていたものよりも少なかったため、複数のDNA抽出のプロトコルを比較検討し、最も収量の大きい方法を選択した。抽出DNAは2種類の制限酵素により断片化し、今回のプロジェクト用に作成したアダプターをライゲーションしたうえでRAD-Seq法により個体群を解析に用いた。 イルミナ社MiSeqを用い、MiSeq Reagent Kit v3 (150 Cycle)キットにより1ランのシーケンシングを行い、2種それぞれの全個体におけるSNPs(一塩基多型)を検出した。本ランでは合計50個体を1ランで解析し、十分なSNPsが検出できるか、および十分なカバレッジがあるかを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は初年度でサンプリングとDNA抽出を完了させ、RAD-Seq法の複数ランを行う予定であったが、DNA抽出の効率が想定より悪く、より収量を大きくする必要があったため、DNA抽出のための複数のプロトコルを比較検討する必要が生じた。その結果、解析に十分量のDNAを抽出することができるようになったため、全体的にはやや遅れているものの、プロジェクトの完了には問題ない程度である。
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Strategy for Future Research Activity |
本プロジェクトに最適なDNA抽出プロトコルと、その後の解析の流れが把握できたため、次年度には計5ランのRAD-Seq法を行い、サンプリングした全個体の遺伝構造の比較を行う予定である。
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