2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15F15716
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
喜田 宏 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 名誉教授 (10109506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MIFSUD EDIN 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-11-09 – 2018-03-31
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Keywords | ワクチン / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
世界基準のインフルエンザワクチンの開発に向けた基礎的実験データの収集、解析を開始した。 国内のワクチンメーカーから季節性インフルエンザウイルス全粒子ワクチン、エーテルスプリットワクチンが提供された。各ワクチンに対するマウスの免疫応答を解析した。その結果、全粒子ワクチンは、スプリットワクチンに比して、マウスに強い免疫誘導を誘導することが分かった。現在、さらに詳細な免疫応答の解析を進めている。 また、ワクチン接種に対する副反応のバイオマーカーを探索するために、血清中のエクソソームRNAを解析した。まず、次世代シークエンサー(Hi-Seq)を用いて、インフルエンザウイルス感染マウスの急性期における血清中のエクソソームRNAのプロファイリングを行った。その結果、インフルエンザウイルス急性感染期において、有意に発現が変化するmicroRNAが数多く確認され、特に幾つかのmicroRNAについては強い発現上昇が認められた。現在、各microRNAの生物学的意義の解明とワクチン接種後の副作用と関連するバイオマーカー開発に向けた詳細な解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
世界基準のインフルエンザワクチンの開発のための検討は計画通りに進んでいる。 国内のインフルエンザワクチンメーカーから提供された全粒子ワクチンはマウスを用いた免疫学的解析によってその有効性がスプリットワクチンと比べて有意に高い事が判った。 ワクチンの副反応バイオマーカーとして血清中のエクソソームを解析する計画であったが、マウスを用いた実験でワクチン接種による副反応を検出できなかった。さらに、試験的に解析したエクソソーム中のmicroRNAの変化を検出できないことが判った。今後はワクチンに対する免疫応答の解析にエクソソームmicro RNA 検出系を利用することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
世界基準のインフルエンザワクチンの開発研究の推進方策を変更する必要はない。当初の予定どおり、提供された全粒子ワクチンとスプリットワクチンの免疫学的解析を進め、世界基準のワクチンとして不活化ウイルス全粒子ワクチンを推薦しうるか否かについて科学的データを更に蓄積する。当初、ワクチンの副反応検出のためのバイオマーカーとしてエクソソーム解析を利用する計画であったが、全粒子ワクチンを接種したマウスに免疫学的に有意な副反応が認められないことが判った。したがって、エクソソーム解析をインフルエンザウイルス感染時およびワクチン接種による生体応答の解析に応用することとした。
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