2015 Fiscal Year Annual Research Report
竜巻および竜巻飛来物に起因した都市部の重要構造物に対する被害評価法に関する研究
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15F15749
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
八木 知己 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30293905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NASSR AMR 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-10-09 – 2018-03-31
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Keywords | 竜巻 / 耐風設計 / 飛散物の衝突 / ガラス |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,台風のみならず竜巻による風災害が顕著化しているが,日本国内の構造物の耐風設計には,竜巻時の耐風性については考慮していない.その理由は,国内で発生する竜巻は比較的小さなスケールのものが多く,通常の台風を考慮した耐風設計である程度カバーできることや,構造物が竜巻に遭遇する確率が極めて小さいことが挙げられる.しかし,海外では竜巻による構造物の被害は甚大であり,また国内でも竜巻被害が年々増加傾向にあり,竜巻を考慮した耐風設計を考える必要性が高まっている.平成27年度においては,竜巻による強風災害の特徴について検討し,その中でも特に飛散物による構造物のダメージに着目した.竜巻を始めとする強風災害時には飛散物によって,住宅の窓ガラスが破壊された場合には室内が居住空間として使えなくなるだけでなく,建築物内部の気圧の変化で屋根が剥離しやすくなることが指摘されている.そのため国内でもエアーキャノン式射出装置を用いた飛来物に対する外装材,特に住宅で使用される合わせガラスの衝突試験も多数行われている.しかし,性能試験が中心であり,飛散物がガラスに当たった瞬間のガラスの破壊メカニズムに言及したものは少ない.本研究では,飛散物がガラスに当たった瞬間から破壊に至るまでのひずみを計測することを考え,その手法について検討を行った.具体的には,京都大学防災研究所のエアーキャノン式射出装置用いて,合わせガラスに小球を衝突させ,衝突位置から放射状に数カ所,ガラスの表面と裏面に貼ったひずみゲージにおいてひずみを計測する実験を綿密に計画した.さらに,実験結果と比較する意味で,衝突時のひずみを解析的に求める方法についても文献調査を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
竜巻による構造物への荷重として飛散物による衝突荷重に着目し,平成28年度に実際に実験を行うことを目標に検討を重ねてきており,順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,飛散物がガラスに当たった瞬間から破壊に至るまでのメカニズム解明を目的とし,京都大学防災研究所のエアーキャノン式射出装置用いて,合わせガラスに小球を衝突させ,衝突位置から放射状に数カ所,ガラスの表面と裏面に貼ったひずみゲージにおいてひずみを計測する実験を計画している.さらに,解析的なアプローチからも実験結果を考察する予定にしている.また,合わせガラスだけでなく,近年土木建築構造物に使用されるFRP板についても同様の検討を行う予定である. 当初,竜巻による構造物への荷重として,突風による非定常な空気力と飛散物による衝突荷重の両方を考えていたが,前者の課題については,既に研究代表者の研究グループで多数の検討結果あり,時間的・経済的な制約の中,後者の課題を優先することとした.
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