2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15F15782
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
藤田 大輔 佐賀大学, 農学部, 准教授 (80721274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DEMETER ZITA 佐賀大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-11-09 – 2018-03-31
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Keywords | イネ / 収量 / 籾数 / 発現解析 / 窒素反応性 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界の米生産量のうち、90%以上がアジアで生産されており、将来的な人口増加にともなうコメ消費量の増大に対して、主に熱帯アジア全域で栽培されているインド型品種の収量性の改良が必要である。イネの籾数増加に関する遺伝子SPIKEが単離されたが、収量を増加するにあたり、どのような経路の遺伝子や植物ホルモンが関与しているかは明らかにされていない。また、どのような環境下において、収量を増加する効果があるかについて調べられていない。本研究では、全ゲノムを網羅する遺伝子に関して発現解析を行い、SPIKEが関連している経路の遺伝子を特定する。関連する遺伝子群から、収量増加に関与する植物ホルモンの推定を行う。また、栽培管理の観点から、SPIKEと収量の関係は、施肥条件に大きく影響を受けるため、最適な施肥条件の検討と関連する遺伝子群の発現解析を行う。 まず、SPIKEが関与している経路の遺伝子を推定するため、全ゲノムを網羅する遺伝子に関して発現解析を行う。ポットでイネを栽培し、播種後約60日の植物体から、幼穂をサンプリングした。サンプリングした幼穂は、液体窒素に浸した後、-80℃で保存し、幼穂のサンプルから、RNAを抽出した。発現解析に使用する試薬を用いて、PCRの条件設定を行い、増幅の確認を行った。また、研究期間中に行える作期は、2回のみであるため、窒素反応性を比較するための栽培条件に関して、詳細な研究計画を立てた。また、異なる施肥条件における栽培試験では、様々な農業形質を調査する為、試験に用いている材料に関して、関連する農業形質の調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、特別研究員のDemeter博士が研究を実施している。Demeter博士の専門は、植物生理学であるが、本研究の内容は、分子遺伝学や作物学の分野の実験を多く含んでおり、実験を着手する前に、異分野の基礎的な知識を身に着ける必要があった。分子生物学や作物学関連の書籍、論文を読み進めることを重視しながら、イネの栽培手法、生育ステージに関しての知識を身に着けていった。また、収穫したイネのサンプルを用いて、基礎的な農業関連形質の調査手法について学習した。そのため、研究計画に比べて実施する内容が増えたが、ほぼ予定通りに進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
SPIKEが関与している経路の遺伝子を特定するため、全ゲノムを網羅する遺伝子に関して発現解析を行う。幼穂のRNAを用いて、マイクロアレイにより、発現している遺伝子を網羅的に解析する。マイクロアレイで得られた情報から、各遺伝子に関する発現量の量的な比較を行う。その後、各遺伝子に、プライマーを設計し、RT-PCRにより、発現量に差異があるかどうかを検証する。特に、SPIKEと同一の遺伝子において、オーキシンの極性輸送に関わることが報告されているので、これらの遺伝子に関する発現解析を行う。RT-PCRによる発現解析の結果から、関連する植物ホルモンを推定する。 また、異なる施肥条件におけるSPIKEの収量への効果を検証する。ポットで、イネを栽培し、施肥量の異なる試験区ごとの収量や収量構成要素を比較する。施肥条件の違いによる収量への影響を確認するため、イネをポットで栽培し、施肥量の異なる各試験区の収量や収量構成要素の調査をおこない、試験区間の比較を行う。また、異なる窒素条件下におけるSPIKEの発現量や相互作用する遺伝子の発現量の違いを調べる。SPIKEの効果が最も現れる施肥条件を検討するとともに、SPIKEや関連する遺伝子の発現量を比較することにより、それらの原因に関して解明する。また、発現解析の結果、収量増加に関連する植物ホルモンが推定できた場合、ガスクロマトグラフィーやイオンクロマトグラフィーを用いて、関与する化合物の推定を行う。
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