2015 Fiscal Year Annual Research Report
MAPKシグナルに関連したArid5aタンパク質分解機構の解明
Project/Area Number |
15F15907
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岸本 忠三 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任教授 (10093402)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NYATI Kishan Kumar 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2015-10-09 – 2018-03-31
|
Keywords | p38 MAPK / RNA安定性制御 / Arid5a / ユビキチン化 / リン酸化 / タンパク質分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題において、マクロファージのLPS刺激下において誘導されるArid5aのMAPK下における発現調節機構を詳細に解明した。マクロファージにおいて、Arid5aはLPS刺激後一過的に誘導されて、その後分解される。Arid5a遺伝子のプロモーター領域には、エヌエフカッパB(NF-κB)転写因子が結合し、その転写を誘導することを明らかにした。次にArid5a分解機構においては、Arid5a mRNAの不安定化およびタンパク質分解機構について解析を行った。リポ多糖刺激下におけるArid5a mRNAは、MAPKシグナル下流のRNA分解タンパク質AUF-1により速やかに不安定化され、IL-6の上昇を一過的なものにするブレーキが働くことを証明した。また、同時にMAPKシグナル下のp38αによりArid5aタンパク質はリン酸化修飾を受け、その結果としてユビキチン化され速やかに分解されることを示した。Arid5aリン酸化部位の変異は、そのリン酸化の阻害により分解されず、結果的には、IL-6産生の上昇に寄与した。このように、Arid5a遺伝子は、細菌感染やウイルス感染等により引き起こされる免疫担当細胞の自然免疫応答においてNF-κBの活性化により一過的に誘導されて、IL-6上昇に寄与するが、MAPKシグナル下で適切に制御され速やかに分解されることでIL-6の産生量をコントロールしていることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画どおり、Arid5aのMAPKシグナル下における誘導および分解機構を詳細に解明した。実際に、これまでに示したMAPKを通したArid5aタンパク質分解機構がヒトの炎症性自己免疫疾患において破たんしているかどうかを検討課題とする予定。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題で示したArid5aタンパク質分解機構が適切に働かなくなることにより、IL-6の過剰産生が起こり、自己免疫疾患を引き起こす可能性があるかどうか調べる。IL-6過剰産生により引き起こされる自己免疫疾患モデルマウスにArid5aの異常産生はないか、そのリン酸化が阻害されていないかどうかを調べる予定。ヒトの自己免疫疾患患者において、Arid5aタンパク質の異常がみられないか、SNP等を調べる。
|