2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15GS0209
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野田 進 京都大学, 工学系研究科, 教授 (10208358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 卓 京都大学, 工学系研究科, 講師 (30332729)
今田 昌宏 京都大学, 工学系研究科, 助手 (60362448)
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Keywords | フォトニック結晶 / 点欠陥共振器 / 線欠陥導波路 / Q値 / 光子操作 / 欠陥エンジニアリング / ガウス包絡線 / フォトニックヘテロ構造 |
Research Abstract |
本研究は、フォトニック結晶による自在な光子制御を目指す新しい学問領域「フォトニック結晶工学」を深く追求するとともに、各種デバイスへの展開を図ることを目的とする.本目的達成のため,a)高精度試料作製,b)構造揺らぎの影響の理論的・実験的検討,c)各種の光子操作とその効率の最大化,d)欠陥エンジニアリングの高度化と新構造(ヘテロ構造)の導入・発展,e)3次元欠陥加工とその効果の検討,f)光パルス入射による動的特性評価,g)非線形現象の導入と高機能化,の順に系統的に研究を進めている.本年度は,主にd(この基礎としてのb, cも含む)および、e、gの課題に沿って研究を進め,以下の成果を得た.(1)前年度考案した世界最大のQ値をもつダブルヘテロ構造を見直し、さらに、新たなマルチステップヘテロ構造を開発することにより、Q〜100万を達成し、世界最高値を更新した。さらに構造揺らぎに関する詳細な検討をも行い、フォトニック結晶を構成する空気孔の揺らぎ(標準偏差2nm,相関長6nm)の影響等を詳細に検討することにより残留損失が上記4値を決めていることを明らかにした。また、このような高Q値共振器およびヘテロ構造の概念を用い、面内型のマルチチャンネルアッド・ドロップデバイスの実現に世界で初めて成功した。(2)2次元スラブ構造へ、3次元加工を行うことにより、3μmの極微小な領域での偏波変換機能の実現に世界で初めて成功した。通常、2次元スラブ構造は、TE-likeモードに対してのみ動作するので、このような偏波変換機能の実現は、偏波ダイバーシティ動作への展開にとって極めて重要であると言える。(3)高Q値共振器中での非線形現象についても検討を行った。フォトニック結晶材料のSiの2光子吸収の効果を明らかにし、今後の動的光パルストラップへの展開の基本となる非線形現象の解明を行った。本年度は,以上に加え,フォトニック結晶工学の深化に不可欠なフォトニックバンドギャップ効果の発光現象に与える効果について知見を得ることに成功するなど当初予定を上回る成果をも得た.以上の成果は,Science等のインパクトファクターの極めて高い雑誌にも掲載され,世界的に大きな注目を集めた.
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Research Products
(17 results)