2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15GS0301
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲垣 暢也 京都大学, 医学研究科, 教授 (30241954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 和光 京都大学, 農学研究科, 教授 (10151789)
加藤 博章 京都大学, 薬学研究科, 教授 (90204487)
山田 勝也 弘前大学, 医学部, 助教授 (40241666)
坂 信広 秋田大学, 医学部, 助手 (90333921)
長嶋 一昭 京都大学, 医学研究科, 助手 (40324628)
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Keywords | 遺伝子 / 蛋白質 / 脂質 / ABC蛋白質 / 膜輸送 / イオンチャネル |
Research Abstract |
哺乳動物のABC蛋白質は未だに蛋白構造が不明であるだけでなく、その多くは未だに輸送する基質や機能、病態との関連が不明である。本研究では、特にABC蛋白質のレギュレーター機能(SUR)と脂質膜輸送機能(ABCAサブファミリー)に焦点を絞り、構造、機能、病態における意義を解析することにより、新たな膜輸送機構の分子基盤を明らかにすることを目的とする。平成18年度には、 1.ABCA3 KOマウスの肺から抽出した脂質の網羅的メタボローム解析により、パルミチン酸残基を有するホスファチジルコリンとホスファチジルグリセロールが特異的に減少していることから、これらの脂質がABCA3の基質である可能性を明らかにした。 2.ABCA3遺伝子異常によるヒト肺サーファクタント欠損患者にサーファクタントを投与し、その有効性を明らかにした。 3.ABCA2 KOマウスの脳の脂質解析により、スフィンゴミエリンが減少し、ガングリオシドGM1が蓄積していることを明らかにした。 4.部位特異的アミノ酸置換により安定性に優れた変異型MDR1が得られた。この変異体は野生型MDR1よりもモノクローナール抗体との親和性が高く、結晶化に向いていることが示唆された。 5.MDR1のホモログである大腸菌MsbAの精製、結晶化を行い、10分解能の単結晶が得られた。 6.リポソーム再構成による検討の結果、ABCA1はオレイン酸とパルミチン酸をもつホスファチジルコリンを最適な基質として認識し輸送していることを明らかにした。 7.MDR1は分子量800〜900の化合物を最も効率よく認識すること、それよりも小さな化合物を認識する場合、コレステロールは余剰の空間を充填することにより、効率よく基質の認識を可能にするというモデルを提唱した。 8.ABCA1とは異なり、ABCG1は、培地中にHDLを加えた時に、スフィンゴミエリンを主とするリン脂質とコレステロールを細胞から効率よく排出することを明らかにした。
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Research Products
(29 results)