2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15GS0310
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 和俊 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70182194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 昌之 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50212254)
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Keywords | 小胞体 / 膜結合性転写因子 / ゴルジ装置 / プロテオリシス / ジスルフィド結合 / 酸化還元 / アラニン置換 / 分子シャペロン |
Research Abstract |
哺乳動物細胞に小胞体ストレスが負荷されて、小胞体内に高次構造の異常なタンパク質が蓄積すると、まずATF6経路が活性化される。ATF6は小胞体に埋め込まれた膜貫通型転写因子であり、小胞体ストレスに応答してゴルジ装置へ移行し、そこでプロテアーゼによる切断を受ける。切断によって膜から遊離したN末端断片は転写因子として必要なドメインを全て含んでおり、核へ移行して小胞体内に局在する分子シャペロンをコードする遺伝子の転写を活性化する。種々の結果から、ATF6の活性化が小胞体ストレス応答に極めて重要であることが示されているので、小胞体ストレスの感知機構に関する解析を行い、以下の結果を得た。 1)ATF6の小胞体内腔ドメインには、ヒトとマウスのATF6αとATF6βでよく保存された位置にシステイン残基が2つ存在していて、これらのジスルフィド結合を介してダイマー、オリゴマーとして存在することを見いだした。さらにモノマーも分子内でジスルフィド結合を形成していた。さらに、小胞体ストレス下では、これらのジスルフィド結合が還元され、還元型モノマーがゴルジ装置へと移行することを明らかにした。還元されたATF6の方が酸化されたATF6よりゴルジ装置局在性プロテアーゼに感受性であることから、小胞体における変化を経験したATF6のみが活性化される仕組みになっているのではないかと考えた。 2)ATF6の小胞体内腔ドメインに種々のアラニン置換を導入した変異体を解析した結果、10個のほぼ連続したアミノ酸を全てアラニンに置換すると、ATF6は小胞体ストレス下でもゴルジ装置に移行しないことを見いだした。この変異体の更なる解析により、ATF6の活性化に必要な制御機構を明らかにすることができると考えられる。
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Research Products
(5 results)