2015 Fiscal Year Annual Research Report
自立活動の取り組みとして行う未経験の活動による身体へのアプローチの模索
Project/Area Number |
15H00209
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Research Institution | 石川県立いしかわ特別支援学校 |
Principal Investigator |
太田 博巳 石川県立いしかわ特別支援学校, 教員
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | 定型発達 / 重力負荷 / 重症心身障害者の活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
肢体不自由の子どもにとって常識となっているPCW、SRC-W等の歩行器やクラッチの使用は正常歩行の阻害要因であるのかを調べた。 歩行器使用では足への垂直負荷を減らそうとする動きがみられる。杖歩行は[2本の杖と片方の足の3点で支えもう一方の足を出す動き]の連続である。双方共正常歩行の[片足で立ちもう片方の足を出す動き]が存在しない動作の疑似歩行であり、重力に抗して動かせる筋と動かせない筋の混在が顕著であった。体重免荷装置などで足裏荷重増大による身体の使い方や意識変化を調べた。 重力免荷装置等によって体幹の平衡を意識させつつ動かせる状態を誘導していくと、筋活動が活性化し、姿勢や活動に変化が生じる例が多かった。歩行器等での代償運動の成立が、筋発達遅滞や関節変形の要因となっている可能性がある。 重症心身障害児の側彎改善の可能性と運動療法の関連を継続的に体幹回旋運動による変化を追跡した。 体幹回旋運動『グルグル』を2年間継続的に行ってきた対象者Kさん(中学部)は、筋緊張の緩みと呼吸機能の改善がおき、動きに合わせて自力排痰が可能になり徐々に側彎Cobb角も小さくなった。連鎖するかのように発声を伴った明確な意思表示や活動の活性化が起き、ほぼ毎日登校できるまでになった。彼女は亡くなったが、保護者要望で論文発表を行った。活動がトリガーとなり呼吸筋が動きだしたことで活動に必要な酸素供給量が確保され、努力呼吸による過剰な筋緊張という悪循環が断たれ、連鎖的に変化が起きたと思われる。昨今話題の呼吸リハにも通ずる。成長期は側彎症の進行も急峻であるが、改善も起こりうる事を示唆している。 活動によるこれらの変化から、今目にしている障害は成長過程における代償運動によって2次障害が加わった姿であり、重力方向を意識した未体験の活動を体験させることで、動かせなかった身体部位の筋活動による連鎖が起きた。今後教育活動においてもこういった意識が求められる。
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Research Products
(4 results)