2015 Fiscal Year Annual Research Report
新燃焼法による木質系難処理災害廃棄物の超低温燃焼技術の開発と固体燃料化の推進
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15H00318
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
阿部 文明 愛媛大学, 工学部, 技術系職員
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | 木質系海底瓦礫 / 低温焼却 / 固体燃料化 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災および福島第一原子力発電所の事故により大量の災害廃棄物が発生した. なかでも海水を飽和した海底瓦礫や放射性物質を含む廃棄物の処理は, 復興における最大の課題のひとつである. 本研究では, 研究代表者が考案した木質バイオマスの二段階燃焼法を応用し, 上述の廃棄物の中でも減量化の困難が想定される木質系廃棄物の塩分や放射性物質の拡散を抑制する低温燃焼技術の開発と燃料化による利用を目的とした. ここでは, 製作した小型燃焼器を用い, 木材チップに人工海水を飽和させ, さらに含水率を13, 22, 38%に設定した模擬廃棄物を使用して二段階燃焼法による燃焼実験を行った. その結果, 塩分を含む場合でも分解燃焼過程と表面燃焼過程に分離して二段階で燃焼することを確認した. そして本実験範囲では, 供給空気量の操作によって分解燃焼過程で約550~980℃, 表面燃焼過程で約550~1030℃の範囲で燃焼温度が制御できること, いずれの含水率においても安定した燃焼が保持できることを明らかにした. また, 本燃焼器を用いた同一模擬廃棄物による従来の火格子燃焼との比較から, 本燃焼法では, ①廃棄物からの塩分の拡散を抑制し, 含有塩分の大部分が結晶化して燃焼灰とともに回収できる②塩化水素の発生量は, 少なく, かつ燃焼温度の低下とともに減少する. さらに, 燃焼器内部に設置したSUS316製熱電対保護管では, 燃焼温度の低下とともに腐食の低減が観察された. これらのことから, 塩分を含む木質廃棄物の焼却・減量化における本燃焼法および低温焼却の有用性と, 燃料化による利用が可能なことがわかった.
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