2015 Fiscal Year Annual Research Report
日本産オオバウマノスズクサ亜属の起源を探る~中国の新分類群に関する研究
Project/Area Number |
15H00430
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Research Institution | 武蔵高等学校中学校 |
Principal Investigator |
東馬 加奈 武蔵高等学校中学校, 教員
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | オオバウマノスズクサ / 浙江省 / 新種 |
Outline of Annual Research Achievements |
<目的> オオバウマノスズクサ亜属(ウマノスズクサ科)は生花の比較研究が難しいため、長い間押し葉標本の葉形を重視する分類が行われてきた。しかし、実はこの仲間は葉形も非常に変化に富むため、その分類学的研究は長きに渡って混乱することとなった。日本国内の種類については筆者らのこれまでの研究から概ね決着が付いたが、台湾や中国の種類についてはまだ明確になっていない。そこで本研究では、特に中国浙江省の未記載分類群について、日本の分類群と比較を進めながら形態的変異及び遺伝的変異の両側面から調査を行った。 <方法> 日本国内についてはこれまでに概ね調査済みであるので、本研究では未調査地の残る近畿地方にて追加調査を進めた。中国浙江省の未記載分類群についても既に調査を行っているが、さらなる情報を得るため中国国内の複数の標本庫が公開しているデジタル標本画像のチェックを行った。また浙江大学の共同研究者に現地でのフェノロジー調査等をお願いした。DNA鑑定実験は、筆者が客員共同研究員を勤めている東京大学大学院理学系研究科の附属植物園内にある実験施設にて行った。 <成果> 日本国内のオオバウマノスズクサ亜属植物の分類について和文にて論文にまとめ、日本植物分類学会誌に投稿した。査読の結果2016年1月に受理されたとの連絡があり、2016年8月発行予定の学会誌に掲載される。また本研究における形態的変異及び遺伝的変異の調査から、中国浙江省にてこれまで日本に分布する種と同様とされていたものの中に、日本の種類とは全く別の新種(未記載分類群)が少なくとも2つあると結論付けられた。それを立証すべく、各新種についてDNA鑑定によりオオバウマノスズクサ亜属内での系統関係を明らかとし、また詳細な写真図版および植物画を作成して論文を執筆した。現在、原稿の最終確認中であり、近日中には海外の学術雑誌に投稿する予定である。
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Research Products
(1 results)