2015 Fiscal Year Annual Research Report
ヒメツリガネゴケ遺伝子ノックアウトによる植物キチナーゼの生理的機能の解明
Project/Area Number |
15H00436
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
稲嶺 咲紀 国立大学法人 鹿児島大学, 大学院理工学研究科, 技術職員
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | キチナーゼ / ヒメツリガネゴケ / 生体防御 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】 多くの陸上植物にキチナーゼの存在が認められているが、その基質であるキチンは植物体内には存在しない。そのため、植物キチナーゼは病原性真菌の細胞壁キチンを分解することにより、その生育や感染を抑制する生体防御タンパク質であると考えられている。高等植物にはキチナーゼの種類とそれに類似した遺伝子の数が多く、機能解析が困難であるため、陸上植物の進化の基部に位置するコケ植物の中でも、モデル植物として利用されるヒメツリガネゴケ由来キチナーゼの防御応答に関する研究を行っている。本研究では、抗真菌活性があると考えられるキチナーゼのノックアウト変異体を作製し、生体内における役割について検討することを目的とした。 【方法】 1. 遺伝子破壊用コンストラクトの構築 ヒメツリガネゴケ遺伝子破壊用プラスミドpTN182に目的キチナーゼ遺伝子の上流および下流部分と相同的な配列を組み込み、遺伝子破壊用コンストラクトを構築する。 2. キチナーゼ遺伝子ノックアウト ポリエチレングリコール(PEG)法にて、ヒメツリガネゴケヘ破壊用コンストラクトを導入し、キチナーゼ遺伝子ノックアウト変異体を作製する。 3. 形質の観察 キチンオリゴ糖の添加に対する遺伝子発現の応答の変化や真菌への抵抗性について観察する。 【成果】 制限酵素配列を付加したプライマーを用い、ゲノムDNAを鋳型とするPCRを行った。DNAシーケンスの結果、目的の配列であることが確認された。得られたPCR産物を遺伝子破壊用プラスミドpTN182の破壊カセット部分の上流および下流領域に連結し、遺伝子破壊用コンストラクトの構築に成功した。現在、破壊用コンストラクトを導入した遺伝子ノックアウト変異体を作製中である。今回の実験では、遺伝子増幅に用いたPCRや大腸菌の不良のため進度が遅れ、形質の観察に至らなかった。今後、キチンオリゴ糖や真菌への抵抗性を観察し、キチナーゼの役割について検討する必要がある。
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Research Products
(2 results)