2015 Fiscal Year Annual Research Report
ベバシズマブ関連高血圧に対する降圧剤の選択と抗腫瘍効果への影響について
Project/Area Number |
15H00529
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山崎 香織 千葉大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | ベバシズマブ / 高血圧 / 大腸癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景・目的】ベバシズマブ(BV)は大腸癌に対する従来の化学療法と併用することにより上乗せ効果が認められる有用な分子標的治療薬であるが、頻度の高い副作用に高血圧があり、血圧のコントロールが治療継続を左右する。海外のガイドラインでは、BVの高血圧に対する降圧薬として腎保護作用のあるACE阻害薬、ARBが推奨されている。高血圧の発現機序としては、血管上皮細胞増殖因子(VEGF)とVEGF受容体との結合を阻害した結果生じる一酸化窒素(NO)産生の低下が考えられるが、ACE阻害薬およびARBはNO産生の亢進を介して血管新生を阻害するため、BVの効果を減弱させる可能性が考えられる。我々はACE阻害薬及びARBを投与している患者と投与されていない患者で、BV併用化学療法の奏効率に差があるか否かを調査した。 【方法】千葉大学医学部附属病院食道胃腸外科において2008年11月から2013年12月までに1st Lineの治療として、FOLFIRI-3とBVを投与した進行・再発大腸癌患者を対象とした。患者背景、降圧薬、血圧、奏効率を電子カルテよりレトロスペクティブに調査した。検討①として、BV投与期間中に高血圧の副作用が発現した群と発現しなかった群に分け、奏効率を比較した。検討②として、ACE阻害薬およびARB併用群と非併用群に分け、各群での奏効率を比較した。 【結果・考察】対象患者は24名であった。検討① : 高血圧が発現した患者は18名、発現しなかった患者は6名であり、年齢・性別・FOLFIRI-3の減量の有無に差はなかった。奏効率は高血圧が発現した群で優位に高かった。検討② : ACE阻害薬及びARB併用群は9名、非併用群は15例であり年齢・性別・FOLFIRI-3の減量の有無に差はなかった。奏効率は両群で差はなかった。今回の検討結果からBVの抗腫瘍効果は高血圧を発現している患者で高い傾向を認めた。また、ACE阻害薬およびARBはBVの抗腫瘍効果には影響しない可能性が示唆された。
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