2015 Fiscal Year Annual Research Report
血液浄化療法施行下におけるサイトメガロウイルス感染症治療薬の投与設計方法の確立
Project/Area Number |
15H00557
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鈴木 達也 千葉大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | サイトメガロウイルス感染症 / 抗ウイルス薬 / HPLC |
Outline of Annual Research Achievements |
○研究目的 サイトメガロウイルス(CMV)感染症において抗CMV薬を用いる場合、高い有効性が示されている反面、血球減少や電解質異常等の致死的な副作用の出現が臨床上問題になっている。これらの抗CMV薬は免疫抑制薬を使用している臓器移植患者や、HIV患者といった易感染状態にある患者に使用されることが多いが、有効血中濃度域が明らかにされておらず、予防・治療目的それぞれに対する投与量および投与スケジュールは明確にされていない。現在、国内で使用可能なCMV治療薬はガンシクロビル(GCV)、ホスカルネットの2種類しかなく、ホスカルネットは腎機能障害時に禁忌、GCVは腎機能に応じて減量の指標があるが、一定の確率で重篤な副作用が出現する。一方、腎機能低下患者では血液浄化療法を施行しながら抗CMV薬を使用する場合がある。この場合、血液浄化療法による薬物除去の情報はほとんどなく、臨床症状を観察しながらの投与量調節では後手となり、投与量が不十分であれば治療失敗、過量投与となれば致死的となり、いずれにしても死亡につながる。そこで我々はCMV感染症において、GCVおよびホスカルネットの有効血中濃度域および投与方法を確立し、血液浄化療法時においても抗ウイルス薬の血中濃度制御を行うことが、さらなる有効性および安全性の向上に寄与すると考えている。以上より、抗ウイルス薬の測定系を開発することを目的とした。 ○研究方法 ・測定系の確立 既報を基に当院で測定可能なHPLCによる条件を検討する。対象薬物はガンシクロビル(GCV)、ホスカルネット(FCN)、内標準物質としてアシクロビル(ACV)を対象とする。 ○研究成果 GCV、ACVに関しては保持時間がそれぞれ8.1分、11.0分で各成分を検出可能となった。GCVは2.0-20.0μg/mLの範囲でR^2=0.999と良好な直線性を示した。本測定法は前処理に約90分、1検体あたり30分で測定可能となった。一方、FCNに関しては同一の測定系では、臨床上得られる検体で検出するために十分なピークを得ることができなかったため、さらなる条件検討が必要と考えられた。
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