2015 Fiscal Year Annual Research Report
注射用タゾバクタム/ピペラシリンの推奨投与量が有効性や安全性に及ぼす影響の解析
Project/Area Number |
15H00558
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
髙井 伸彦 浜松医科大学, 医学部附属病院, 薬剤主任
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | タゾバクタム/ピペラシリン / 誤嚥性肺炎 / 腎機能別投与量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、理論上腎機能別に推奨された注射用タゾバクタム/ピペラシリンナトリウム(以下、TAZ/PIPC)の投与量が、臨床上有効性や安全性に及ぼす影響について、浜松医科大学医学部附属病院の医療情報トータルシステムを用いて後方視的に調査した。 調査期間中に誤嚥性肺炎と診断されTAZ/PIPCを投与された患者105名のうち、TAZ/PIPCが無効とされた患者を除き、腎機能別の推奨量が投与された40名を対象とした。その内訳は、クレアチニンクリアランス50以上の正常腎機能患者(以下、正常腎)26名、10以上50未満の中等度腎機能低下患者(以下、中等度腎)13名及び10未満の高度腎機能低下患者(以下、高度腎)1名であった。 各腎機能における投与期間及びTAZ/PIPCの総投与量は、正常腎で8.15±3.55日及び121.48±49.97gに対して、中等度腎で9.54±3.23日及び105.57±48.55g、高度腎で17.00日及び112.50gであり有意な差は認められなかった。またTAZ/PIPCの有効性の指標である体温、白血球数及びC反応性蛋白は、投与開始後いずれの腎機能においても有意な低下が認められたものの、その変化については各群間において差は認められなかった。さらに安全性に関してAST、ALT、γGTP、K及びCREの臨床検査値を比較したところ、正常腎1例においてAST、ALT及びγGTPがGrade2、Grade2及びGrade3の増大が認められたものの、各臨床検査値の変動については各群間において有意な差は認められなかった。一方、TAZ/PIPCの血中濃度に及ぼす影響については、解析に必要な症例を集積しているため、明確な成果は得られていない。 以上のことから、誤嚥性肺炎に対するTAZ/PIPCの有効性や安全性は、理論上腎機能別の推奨投与量により影響されないことが示された。
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