2015 Fiscal Year Annual Research Report
発現差異プロテオミクス解析による腹部・胸部大動脈瘤の血清病態バイオマーカーの探索
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15H00590
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
佐藤 和美 島根大学, 総合科学研究支援センター 生体情報・RI実験部門, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2015
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Keywords | プロテオミクス解析 / 血清バイオマーカー蛋白質 / 腹部・胸部大動脈瘤 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 研究目的 心血管疾患の一つである腹部及び胸部大動脈瘤における血清バイオマーカー蛋白質の同定及び比較・検討を行い、両者の発生・進行過程の相違を明らかにすることを目的とした。 2. 研究方法 腹部及び胸部大動脈瘤の患者から採血した血清と健常人(ボランティア)血清(コントロール)を用いて、isobaric tag for relative and absolute quantitation (iTRAQ)試薬による標識とその後のナノ液体クロマトグラフ(LC)装置による分離及びマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型タンデム質量分析装置(MALDI-TOF/TOF MS/MS)を用いての解析により、健常人と患者の間で発現差異を示す血清蛋白質のプロテオミクス解析を行った。 3. 研究成果 腹部及び胸部大動脈瘤患者血清において健常人に比べ1.3倍以上または0.77倍未満の発現発現比率を示す蛋白質を腹部で18個、胸部で20個同定した。これらの中にはacute-phase proteinも多く含まれていたが、それ以外の蛋白質のうち、健常人血清に比べ腹部大動脈瘤患者血清において、protein AMBPでは1.43倍、antithrombin-Ⅲでは0.66倍、heparin cofactor 2では0.64倍、insulin-like growth factor-binding protein complex acid labile subunitでは0.55倍の発現差異がみられた。同じく胸部大動脈瘤患者血清においては、transthyretinでは1.82倍、ceruloplasminでは1.37倍、zinc-alpha-2-glycoproteinでは1.35倍、alpha-2-macroglobulinでは1.31倍の上昇がみられた。また、両病態患者血清に共通して、fibronectin、complement component C9、alpha-1-acid glycoproteinlの発現増加がみられた。これらの蛋白質は、negative acute-phase proteinあるいはacute-phase proteinとして知られている。さらに、発現差異のみられた蛋白質の中のいくつかについては、ウエスタンブロット法を用いてプロテオミクス解析結果の確認を行った。 今回、腹部及び胸部大動脈瘤患者血清において健常人に比べて発現差異を示すいくつかの蛋白質を同定したが、これらの蛋白質の機能の解析は大動脈瘤の発生機序や進行過程の解明につながることが期待できる。
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Research Products
(5 results)