2016 Fiscal Year Annual Research Report
生物の進化速度の環境適応性に基づく大規模複雑情報ネットワークの設計制御手法
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15H01682
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村田 正幸 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (80200301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津留 三良 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (80594506)
小南 大智 大阪大学, 経済学研究科, 助教 (00709678)
荒川 伸一 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (20324741)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 情報ネットワーク / ネットワークアーキテクチャ / 仮想ネットワーク / 進化適応機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
仮想NW構成手法に取り組む課題1では、遺伝型の変異においてランダム性を導入し、より大きい環境変動を受容可能な多様な遺伝型(仮想NW候補群)を残す仮想NW群の選出方法の評価に取り組んだ。計算機シミュレーションによって、トラヒック変動が時間的かつ空間的に大きい場合に、多様な遺伝型を残すことによる制御収束率の改善を確認した。課題2の生物システムにおける環境変動の大きさに対する進化適応機構(進化可能性の進化: Evolution of Evolvability)に関する研究では、昨年度までにDNA修復遺伝子が欠損した複数の大腸菌変異体の変異率を測定した。その結果、野生型大腸菌に対して変異率が100~1000倍の範囲で増加してることが確認できた。これらの高変異性変異体を、栄養条件が異なる複数の培養条件で培養し、その増殖速度を計測した。その結果、ある閾値となる変異率を超えた際に、増殖速度が低下することが分かった。また、増殖速度の低下具合が、栄養条件に依存していることが分かった。すなわち、高い変異率を持つことでより不利に作用する環境条件が明らかとなり、持続的な進化が生じる検証実験の培養条件を定めることができている。課題3の「進化可能性の進化」能力を有するネットワーク基盤構築に向けた検討として、課題1の知見をもとに、物理資源を計算機上のシミュレーションによって一時的に増大させ、それによってどの程度制御収束率が向上するか確認した。6ノード規模のネットワークトポロジーであるものの、多様な遺伝型を残す場合に追加すべき物理資源の場所を決定し、大きな環境変動を考慮せずに遺伝型を定めて物理資源の場所を決定した場合と比較して、制御収束率が向上することを確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題1~3の課題それぞれで順調な成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
生物システムにおける環境変動の大きさに対する変異率について、生物実験により得られた数値が得られており、まずは生物システムにおける数値を情報ネットワーク基盤の構築に用いることを試みる。ただし、生物実験により得られた数値がそのまま適正値であるとは限らないため、計算機シミュレーションを用いて検証し、情報ネットワーク基盤の構築に適した変異率を求めていく。
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Research Products
(8 results)