2015 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の身体的・認知的変化に応じた介護コンシェルジュエージェントシステム
Project/Area Number |
15H01720
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
高玉 圭樹 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (20345367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼尾 雅之 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (90508821)
田中 健次 電気通信大学, その他の研究科, 教授 (60197415)
坂本 真樹 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (80302826)
松田 隆秀 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (40190475)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 医療・福祉 / エージェント / 可視化 / 感性情報学 / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,健康な状態から介護・医療を受けるまでのケアを高齢者に提供する介護コンシェルジュエージェントを構築するために,(1)安心・安全ケア技術(事故予防と認知症発見技術),(2)健康改善ケア技術(生活行動改善と動機づけ技術),(3)快適介護ケア技術(好みの介護理解技術)を探究するとともに,(4)プライマリケア(総合性と受診のしやすさに基づく地域の保健医療福祉ケア)の観点から,在宅・介護施設・病院に受け入れられる介護コンシェルジュシステムの可能性と問題点を整理することを目指す. その目的達成に向けて平成27年度では,(1)に関しては多様なセンサを用いて高齢者の状況を把握し,摺り足の悪化による転倒を予防する事故予防技術を考案した.次に,(2)に関しては深い睡眠を導く日常の行動を特定するデータマイニング技術を探究し,生活行動改善を促す技術の基礎を確立した.また,(3)に関しては手触りの感じ方の違いをオノマトペによる感性評価システムで分析し,好みの介護理解技術に向けた実験を進めた.最後に,(4)に関してはプライマリケアの観点から,複数の介護老人保健施設および介護付老人ホームの現地調査を実施した. また, AAAI 2016 Spring Symposiumにて“Well-Being Computing: AI Meets Health and Happiness Science”というシンポジウム,IEEE Congress on Evolutionary Computation 2015にて“New Directions in Evolutionary Machine Learning”というスペシャルセッションを組み,本研究の成果を社会に向けて発信した.さらに,本研究での成果の一部を特許として申請するともに,ブリストル大学(英国)やスタンフォード大学(米国)と共同研究を開始した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,エージェントに組み込むコンシェルジュサービスのケア基盤技術として,(1)安心・安全ケア技術,(2)健康改善ケア技術,(3)快適介護ケア技術を探究するとともに,(4)それらの技術が在宅・介護施設・病院に受け入れられる上での問題を解決する. その目的達成に向けてH27年度は,(1)に関してはマイクロ波センサやマットレス型圧力センサを活用しながら,RFIDタグ付きパジャマなどの衣類を着用した高齢者の位置と姿勢を長期間にわたってモニタすることで,誰がいつどんな状態にあるかを認識する技術を開発した.さらに,摺り足の悪化による転倒に焦点をあて,日々の歩行データから足の引きずりパターンを検出し,そのパターンの変化から転倒を予防する時系列マイニング技術を考案した.次に,(2)に関しては高齢者の身体的な変化(例えば,歩ける状態から車椅子での状態への変化)に応じてライフスタイル(何時に起床,食事,リハビリ,入浴,就寝したのかなどの一連の生活行動)を適切に改善する方法を模索した.具体的には,深い睡眠を導く日常の行動を特定するデータマイニング技術を提案し,身体的な変化に応じた生活行動改善を促す技術の基礎を確立した.また,(3)に関しては好みの介護理解技術を考案するために,オノマトペによる感性評価システムを活用し,触りの感じ方の違いを簡易な方法で比較した.最後に,(4)に関しては高齢者が特異的に激増する地域(いわゆる大都市型の将来人口推移を示す東京都,神奈川県)に着目し,それぞれの地域にみあった高齢者対策を模索するとともに,その対策を実施できる複数の介護老人保健施設および介護付老人ホームの現地調査を実施した
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究としては,申請書に記載された計画を進めることを基本とする.具体的には,エージェントに組み込むコンシェルジュサービスのケア基盤技術としての(1)安心・安全ケア技術,(2)健康改善ケア技術,(3)快適介護ケア技術に関する研究と,(4)提案技術が在宅・介護施設・病院に受け入れられる上での問題を解決する研究は次のように推進する. まず,(1)に関しては昨年度に開発したシステムを研究室および高齢者施設に実際に導入することによって,長期間にわたるデータを収集し,そこから転倒や発作,無呼吸症候群などの異常状態を検知し,排尿,排泄の検出をするためのルールを抽出する.そして,リアルタイムにこれらの事態を認識,検出するシステムを開発する.次に,(2)に関しては訪問調査を実施し,生活行動改善のための動機付けの方法を具体的に提案するとともに,個々人にあった見える化による実現方法を追求する.また,(3)に関しては高齢者の精神状態を把握し,個人の嗜好や認知症などの発症の可能性を早期に予見する方法に取り組む.最後に,(4)に関しては複数の介護老人保健施設および介護付老人ホームを選定し,倫理員会の承認後,同意を得られた高齢者からデータ収集を開始する.
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