2016 Fiscal Year Annual Research Report
メカニクスとトポロジーの複合化による細胞分化制御メカニズム
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15H01800
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
牛田 多加志 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (50323522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 克子 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (90343144)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 分化コントロール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,分化コントロールのためのトポロジカル表面の創製および引張応力負荷技術の開発を並行して進め,それらの技術を統合することによりメカニクスとトポロジーの複合化システムの開発を進める.そして,これらのシステムを用いて,主に骨髄性幹細胞を新規に作製したトポロジカル表面上で培養し,動的な引張応力負荷実験を実施し,それらの実験結果を総合して,メカニクスとトポロジーを複合化させたシステムの開発および総合的評価を行うことを目標としている.今年度は引き続き,細胞分化コントロールのためのトポロジカル表面の創製を実施した.具体的には,引張応力負荷を実現するために伸縮性素材であるPDMSを用いてトポロジカル表面を持つ材料を作製し,表面プラズマ処理,細胞接着因子のコーティングを施した.そのトポロジカル表面を創製するためのモールドとして,これまでのマイクロオーダーの格子状パターンに加え,ナノオーダーの市松状パターンの創製を試みた.目標としては,100nmオーダーまでのパターンの作製を試みた結果,300nmまでの市松状パターンの作製に成功した.さらに,市松状以外のパターンとして,線状パターンも作製し,様々なトポロジカル表面のオプションの一つとした.これらのトポロジカル表面に,骨芽細胞,骨髄性幹細胞そして破骨細胞を播種し,ぞれぞれの表面における分化維持能力を,遺伝子発現評価,免疫染色評価などの評価手法を用いて,検証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終的な目標は,様々なトポロジカル表面に細胞を培養し,ポロジカル表面からのシグナルに併せて,引張応力負荷によるシグナルを複合化させることによる効果を分化というキーワードで検証することである.その目標の為には,引張応力負荷を実施しない状態での効果を十分に検証する必要がある.この意味で今年度に研究は順調に進捗したと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
トポロジカルな表面で培養された細胞に引張応力を負荷することにより,トポロジカル表面から惹起されるシグナルと物理刺激により惹起されるシグナルとを複合化し,その複合したシグナルが細胞分化に如何に効果を及ぼすかを検証する.分化の指標となる遺伝子発現やマトリックス産生など,細胞のphenotypeを同定すること,および遺伝子発現変化,phenotype変化を誘導する分子メカニズムをシグナル伝達レベルで検証する作業も併せて実施する. 引張応力の負荷下の細胞をリアルタイムで観察することが可能なシステムの構築も実施する.具体的には,PDMSなどの不透明材料上の細胞シグナルを可視化するために,正立型の顕微鏡に装着した水浸レンズを用いる.これに,開発中の引張応力負荷システムを適用して,引張応力の負荷下の細胞をリアルタイムで観察することを実現する.
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Research Products
(13 results)