2015 Fiscal Year Annual Research Report
多能性幹細胞を用いた新規副次肝作成技術開発―腸管の肝臓化―
Project/Area Number |
15H01803
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
佐々木 克典 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (30170666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友常 大八郎 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (80283802)
岳 鳳鳴 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (20532865)
田中 榮司 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (50163506)
松本 司 いわき明星大学, 薬学部, 教授 (00173906)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 再生医工学 / 網羅的遺伝子解析 / 細胞移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度は下記の実績を得た。 1.新規分化誘導法による分化細胞の解析:生体の生死にかかわる肝細胞の役割はアンモニア代謝である。したがって刺激や様々な環境に応じてフェノタイプに変化する多能性幹細胞が強いアンモニアの環境下に置かれ、その中で生きながらえた場合、その細胞は少なくともアンモニアを代謝できる細胞になったことを意味する。この発想のもとで、多能性幹細胞(ES細胞4株、iPS細胞2株)を分化方向に向けた後、ほぼ確実な致死量の約半量のアンモニアに14日間さらした。網羅的遺伝子解析の結果、細胞株に依存せず、未分化性がほとんど失われた。さらに肝細胞マーカーが著しく増加した。新しい独自の分化誘導法が確立できた。 しかし浮遊させながら培地交換を頻回に行ったため細胞が減少した。さらに14日間さらされて生き残っている細胞の増殖能は著しく低下し、移植を行うために細胞数を確保するのが難しかった。そこで、培地交換回数を減らし、未分化性の喪失とフェノタイプへの分化を決定するクリティカルなポイントを探した。その結果8日前後であることがわかり、移植に応用できる方法にブラッシュアップされた。 2.粘膜下組織移植法の最終像の完成とサルを用いた移植へのインフラ整備:腸管を副次肝として機能させるために、食物の通過部位から胆汁分泌部位を切り離す方法を開発した。当初、腸管の吻合が狭窄を起し、食物の通過を妨げるなど致死率が高く、移植の効果をみることが困難であった。しかし腸管の端側吻合の少し手前で側側吻合を置くことで飛躍的に生存率が高まった。さらに、サルを用い、開発した方法で対応できるかどうかを検討した。その結果、生存に問題ないことを確認した。28年度より開始するサルへの移植の準備が整った。また、異種移植になるため、強力な免疫抑制方法をとらなければならないことも移植組織切片の検討から確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
このプロジェクトには三つの骨格があり、その軸をぶらさないようにしながら進めてきた。その一つは、分化誘導で得られた肝細胞の性状解析、二つ目は、それらを腸管粘膜下組織に移植し腸管から独立した新たな副次肝を作成すること、三つめはトランスレイショナルリサーチとして霊長類への移植を実施することである。 最初の性状解析については、新しい分化誘導法では未分化な細胞がほとんど存在せず、移植しても奇形腫をつくる可能性極めて少ないことが分かった。実際移植後の奇形腫の形成はみていない。さらに分化の大半は肝臓を構成する細胞の方向に向かった。これほどクリアに遺伝子発現が惹起されることは予想していなかっただけに、独自のオリジナルの高い方法として確立できたと確信した。現在、研究内容をまとめ投稿中である。しかし、当初予定した胆汁系の解析はICGトランスポーターの動態を探索することにとどまった。この点がおおむねとした理由である。 一方、移植法の確立は、ほぼ完ぺきであった。移植した腸管を独立させるための腸管再建法を考案し、腸管の途中に側側吻合を加えることで、生存率を高めることができた。この標準術式を完成してから、移植細胞の解析が進むようになった。さらに、次年度より開始するトランスレイショナルリサーチ、すなわちサルへの移植に、この方法が対応できるかどうかを実際のサルを用いて試行した。その結果、拒絶という問題を除けば、サルにおいても、腸管粘膜下組織に分化細胞の移植が可能であることを確認した。手術操作はラットよりもはるかにやさしい。 以上の研究経過から、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
このプロジェクトには、分化肝細胞の性状解析および腸粘膜下組織移植による副次肝作成、サルへの移植によるトランスレイショナルリサーチの確立の三つの骨格があり、それらをぶらさずに研究を進める。28年度の到達点はヌードラットを用いた移植臓器の解析とサルへの移植および解析の着手であるが、分化細胞の性状解析を蛋白発現及び組織構築に焦点をあてながら、さらに深く追跡する。 1.分化細胞の性状解析:27年度は網羅的遺伝子解析により、分化誘導の妥当性を確認した。28年度は(1)網羅的解析により得たデータをもとにし、主成分分析を主体に、分化に関わる細胞株の特性を明らかにする。(2)一部実施した毛細胆管の機能解析および微細構造解析をほぼ完了する。(3)新しく開発した分化誘導法により得た細胞の毛細胆管について微細構造学的解析を行う。 2.ヌードラットを用いた移植細胞の解析:27年度の大きな成果は生存率の高い移植法を完成したことであり、そのため移植臓器の解析が再現性よく実施できるようになった。28年度は(1)性状解析で実施してきた胆管系統の解析を移植臓器に応用する。(2)さらにin vivoにおける胆汁動態を明らかにするために移植細胞のICGの排泄について検討する。 3.サルを用いた移植細胞の解析:27年度は、移植による個体の生存への影響は少ないことを確認した。28年度は腸粘膜下組織に分化細胞を移植し、免疫拒絶に影響を可能な限り抑え、組織解析に対応させるため1か月間の細胞の生存を確保する。ヌードラットでの実験から局所的な免疫抑制方法が初期の免疫抑制に効果があることが分かった。サルでは全身と局所と両方で免疫抑制を行い組織解析を行う。
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Research Products
(39 results)
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[Journal Article] Steatogenesis in adult-onset type II citrullinemia is associated with down-regulation of PPARalpha2015
Author(s)
Komatsu M, Kimura T, Yazaki M, Tanaka N, Yang Y, Nakajima T, Horiuchi A, Fang ZZ, Joshita S, Matsumoto A, Umemura T, Tanaka E, Gonzalez FJ, Ikeda S, Aoyama T
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Journal Title
Biochim Biophys Acta
Volume: 1852
Pages: 473-481
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Serum cell death biomarkers for prediction of liver fibrosis and poor prognosis in primary biliary cirrhosis2015
Author(s)
Sekiguchi T, Umemura T, Fujimori N, Shibata S, Ichikawa Y, Kimura T, Joshita S, Komatsu M, Matsumoto A, Tanaka E, Ota M
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Journal Title
PLoS One
Volume: 10
Pages: e0131658
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] ANALYSIS AND COMPARISON OF EMBRYOID BODY FORMATION FROM HUMAN PLURIPOTENT STEM CELLS2015
Author(s)
Tomotsune, D. Mogi, A. Yue, F. Matsushima, A. Sakai, Y. Takizawa-Shirasawa, S. Yokoyama, T. isashi Shimizu, H. Yoshitome, A. Nakamura, S. Sakai, S. Hirashima, K. Fujita, D. Sasaki, K.
Organizer
The 13th ISSCR Annual Meeting
Place of Presentation
Stockholm , Sweden
Year and Date
2015-06-24 – 2015-06-27
Int'l Joint Research
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