2017 Fiscal Year Annual Research Report
How does grammar emerge in the human brain?: An insight from the East Asian comparative cognitive neuroscience of language
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15H01881
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
酒井 弘 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50274030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬塚 れい子 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, チームリーダー (00392126)
Verdonschot RG 早稲田大学, 高等研究所, 助教 (30756094)
尾島 司郎 横浜国立大学, 教育学部, 准教授 (40404959)
広瀬 友紀 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (50322095)
今井 むつみ 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 教授 (60255601)
星野 徳子 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (70609841)
小野 創 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (90510561)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 認知科学 / 脳・神経 / 実験系心理学 / 言語学 / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本語数量表現を使用した予測処理の脳機能を探る事象関連電位計測実験を実施し、数量表現と名詞のトランジションプロバビリティーがN400成分に影響を及ぼす(トランジションプロバビリティーが低いほど名詞に対するN400が増大する)が、数量表現の頻度がLeft Anterior Negativityに影響を及ぼす(数量表現の頻度が高い場合、名詞とのミスマッチがあったときLeft Anterior Negativityが増大する)ことを観察した。この結果は、表現の頻度が処理負荷に影響を及ぼすのみならず、「処理のタイプ(語彙処理か統語処理か)」に影響を及ぼすことを示唆すると考えられる。すでに実施済みである日本語VOT知覚に関する事象関連電位計測実験の結果を国際学会(Neurobiology of Language 2017)において発表した。同じく実施済みの実験である日本語動詞活用形処理の実験結果を、国際学会MAPLL-TCP2017において発表した。新たな計画として、(1)日本語モダリティ表現を使用した語用論的推論の神経基盤を探る事象関連電位計測実験の実施を計画し、実験刺激選定のためのノーミング調査を実施し、(2)「アスペクト強制」現象を手がかりとした意味処理の神経基盤を探る実験を計画し、実験パラダイムの検討、実験刺激の作成を開始した。以上の他に、研究課題に関連する研究として、(1)すでに実施済みである線画描写課題を遂行中の視線を計測することにより文の産出過程を探る実験の結果についてライデン大学(オランダ)において講演を実施し、(2)語用論的推論の神経基盤を実験的に探る研究の動向について日本語用論学会第20回大会において招聘講演を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の中心である日本語数量表現を使用した予測処理の事象関連電位計測実験を予定通り実施したこと、関連する複数の実験に対する準備が順調に進んでいることから、概ね順調な進行であると判断する。ただし、実験に使用する刺激の選定に時間を要し、実験開始が遅れたためデータの分析が2018年度にずれ込んだ。このために生じた計画の遅れは、2018年度に可能な限り早く分析を完了することでキャッチアップできると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
日本語数量表現を使用した予測処理の事象関連電位計測実験の結果を取りまとめ、国際学会(Neurobiology of Language)において発表することを計画している。すでに実施済みである日本語VOT知覚に関する事象関連電位計測実験の結果をまとめて国際学術誌に投稿中であるが、まだ掲載が決定していないため、出版を目指して改訂作業を続ける。すでに実施済みである日本語動詞活用形の処理に関する実験結果を取りまとめて、学術誌へ投稿する。日本語モダリティ表現を使用した語用論的推論の神経基盤を探る事象関連電位計測実験の実施及び「アスペクト強制」現象を手がかりとした意味処理の神経基盤を探る実験を計画しているため、刺激の選定とプログラムの作成を進め、早期の実施を目指す。
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Research Products
(7 results)