2018 Fiscal Year Annual Research Report
Kingship and Legitimacy of Islamic Dynasties
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15H01895
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
近藤 信彰 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (90274993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋葉 淳 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (00375601)
小笠原 弘幸 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (40542626)
二宮 文子 青山学院大学, 文学部, 准教授 (40571550)
清水 和裕 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (70274404)
真下 裕之 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (70303899)
後藤 裕加子 関西学院大学, 文学部, 教授 (80351724)
高松 洋一 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (90376822)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 正統性 / イスラーム / 近世帝国 / カリフ / 神聖王権 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、二つの国際研究集会を開催し、これまでの研究の成果を国際的に位置づけることに専心した。2018年12月15日~16日にアジア・アフリカ言語文化研究所で開催された“Kingship, Ideology, Discourse: Legitimation of Islamicate Dynasties”には、海外から5名、国内から4名の研究者が報告し、イスラーム諸王朝の正統性ついて、有意義な議論を行った。海外からの招聘者はいずれも第一線の研究者で、Melvin-Koushki氏はオカルト・サイエンスと王権の関係について論じたが、きわめて斬新かつ難解な研究を手際よくまとめており、今後の日本の諸研究に大きな刺激を与えるものとなった。 2019年3月9日~10日には、 “The Classification of Indic knowledge at the Mughal court: the A'in-i Akbari”を、フランスを本拠地とする国際的なプロジェクトPerso-Indicaとの共催で同じくアジア・アフリカ言語文化研究所で開催した。イスラーム期のインドに関して我が国で行われた史上最大の国際研究会議であり、海外の研究者が8名、国内から6名が報告(そのうち4名が本科研の関係者)であった。近世のムガル帝国の王権とかかわるさまざまな問題が議論され、他地域との比較を含めて、大きな成果があった。 国内では、2018年10月14日に、日本オリエント学会年次大会(於:京都大学)の企画セッション「イスラーム王朝の正統性―古典的枠組みを越えて―」を組織した。アッバース朝、マグリブ・アンダルス、ポスト・モンゴル期のペルシア語文化圏について、最新の研究成果を踏まえつつ、今後の研究の方向性について、熱い議論をかわした。立ち見が出るほどの聴衆が押し寄せた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大きなイベントであった二つの国際研究集会を昨年度無事に終え、参加者からの評判もすこぶるよかった。日本オリエント学会大会の企画セッションも、多くの参加者に恵まれ、このプロジェクトの大きな存在感を示すことができた。内容面では、プロジェクトの最初から注目していた近世帝国に加え、アッバース朝ともセルジューク朝とも無縁であったマグリブ・アンダルスの例や、カリフなきあとの神聖王権、ムスリムからだけではなく、非ムスリムからみたイスラーム王朝の正統性など、多くの新たな視点を得ることができた。こうして得られた最新の知見やこれまでになかった視点をいかしながら、イスラーム王朝の正統性についての研究成果を日本の学界に提供できると考えるため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は研究のとりまとめを主眼とする。これまでに収集した資料・データ、行ったシンポジウム・研究会の成果を踏まえ、論文の執筆にあたる。和文論文集は、他分野の研究者にもわかりやすいように注意する。そのなかで、イスラームの王権のありかたについて、最新の諸研究を踏まえた書物を作るべく努力する。オランダBrill社から刊行されているJournal of Persianate Studiesの特集で論文数本を掲載すべく、英文論文を完成させる。また、東京で総括シンポジウム「イスラーム国家論再考」を開催する。サハラ以南アフリカや東南アジアをも視野に入れて、より大きな文脈においてイスラームとかかわる王権について、議論を行うとともに、これまでの研究成果をまとめて提示する。海外からの招聘は、ムガル朝におけるサンスクリット文献を専門とするAudrey Truschke (Rutgers University)、ペルシア語写本史料について造詣の深いMohammad Reza Ghiyasiyan (Kashan University) を招聘し、国際ワークショップを開催する。資料収集および学会発表のため、トルコ、イラン、インド、中国に1名ずつ研究者を派遣する。
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Research Products
(37 results)