2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H01931
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大西 裕 神戸大学, 法学研究科, 教授 (90254375)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
品田 裕 神戸大学, 法学研究科, 教授 (10226136)
中井 遼 北九州市立大学, 法学部, 准教授 (10546328)
藤村 直史 神戸大学, 法学研究科, 准教授 (20551493)
西山 隆行 成蹊大学, 法学部, 教授 (30388756)
高橋 百合子 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (30432553)
川中 豪 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター, 研究センター長 (40466066)
飯田 健 同志社大学, 法学部, 准教授 (50468873)
曽我 謙悟 京都大学, 公共政策大学院, 教授 (60261947)
河村 和徳 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (60306868)
伊藤 武 専修大学, 法学部, 教授 (70302784)
稲継 裕昭 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (90289108)
松本 俊太 名城大学, 法学部, 教授 (90424944)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 選挙管理 / 積極的投票権保障 / 選挙研究 / 行政学 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在世界各国で電子投票、在外投票、期日前投票など有権者の投票権行使を積極的に保障する改革(積極的投票権保障、SVRs)が進められてるが、本研究は、その導入の条件、選挙管理機関に与える負荷や変化、有権者の投票行動に与える影響を調査、分析するものである。その分析のために、本研究は制度形成パート、有権者・政治家パート、制度効果パートの3つに分かれて調査を進めてきている。制度形成パートは国際班が担当し、有権者・政治家パートと制度効果パートは国内班が担当した。 制度形成パート:平成28年度の検討に基づき、時系列データを分析し、選挙管理制度変更を何が引き起こしたのかを、各国・地域単位で検討を進めた。うち、東欧、アメリカ、イタリアについては論文原稿段階まで作業を進めている。 有権者・政治家パート: 平成28年度におこなった全国市区町村選管調査の結果を、2013年におこなった全国市区町村選管調査結果と併せて分析を進めた。分析結果の一部は、大西裕編著『選挙ガバナンスの実態 日本編』(ミネルヴァ書房)として公表した。ここでの重要な発見は、選挙管理機関の自律性が不十分な日本では、地方分権改革後地方自治体首長の選挙管理への影響が大きくなっていること、選挙管理機関は積極的投票権保障と選挙管理コストのジレンマに悩んでいること、であった。また、分析を進めた結果、選管調査と同じ枠組みでの有権者調査を行うことができると分かったため、有権者に対するアンケート調査をおこなった。 制度効果パート:平成28年度、参議院選挙時におこなったインターネット選挙のデータを分析し、選挙学会などで報告した。そこでのコメントを受けて分析結果の再検討をおこない、2018年の政治学会年報用原稿作成を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
制度形成パート、制度効果パートでは平成28年度におこなった調査の分析が進み、2018年度の政治学会年報原稿の作成が進んだこと、有権者・政治家パートでは全国市区町村選挙管理委員会調査を分析し『選挙ガバナンスの実態 日本編』を刊行できたこと、平成28年に実施した第2次全国市区町村選挙管理委員会調査の枠組みを用いた有権者アンケート調査を実施し、平成30年度の分析に比較分析が可能となったことから、このように判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
補充調査・分析を行い、3つのレベルの調査を総合的に検討し、理論的な結論を導出する。その際の論点は、選挙の公正性の改善である。先行研究の多くは、選挙管理機関を政府から独立させることが選挙の公正性を高めると論じているが、これを実証的に論じられているのは中南米諸国だけであるうえ、ここで議論の対象としているのは党派的集計操作が生じないという意味にほぼ限定されている。選挙管理機関の独立は行政コストを増やし、選挙管理ミスを増加させることで選挙結果の信頼性を低める可能性があることを視野に入れているとは言えない。SVRsを選挙管理機関と同時に論じる意味はここにある。研究成果は、内外の研究者のレビューを受けた上で出版に向け分析を進めるとともに、総務省や地方選管などとの意見交換をおこない、研究成果の社会への還元をはかる。各パートの調査・分析結果の一部は、2018年の政治学会年報において公表予定である。
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[Book] 国民再統合の政治2017
Author(s)
伊藤武(新川敏光編)
Total Pages
310(211-234)
Publisher
ナカニシヤ出版
ISBN
9784779511905
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