2016 Fiscal Year Annual Research Report
Global Development of Education for Disaster Prevention in Adult and Community Education
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15H01985
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
野元 弘幸 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (70261873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
手打 明敏 筑波大学, 人間系(名誉教授), 名誉教授 (00137845)
圓入 智仁 中村学園大学, 教育学部, 准教授 (00413617)
野村 卓 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (00507171)
山城 千秋 熊本大学, 教育学部, 准教授 (10346744)
小栗 有子 鹿児島大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (10381138)
石井山 竜平 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (30304702)
荒井 文昭 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (40244404)
金 侖貞 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (40464557)
長澤 成次 千葉大学, 教育学部, 教授 (50172523)
田中 治彦 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (50188322)
ハス ゲレル 首都大学東京, 人文科学研究科, 助教 (50720017)
西川 一弘 和歌山大学, 学内共同利用施設等, 講師 (60516459)
岩橋 恵子 志學館大学, 法学部, 教授 (70248649)
槇石 多希子 仙台白百合女子大学, 人間学部, 教授 (80209402)
内田 純一 高知大学, 教育研究部総合科学系地域協働教育学部門, 教授 (80380301)
上田 幸夫 日本体育大学, 体育学部, 教授 (90103564)
千葉 悦子 福島大学, 行政政策学類, 教授 (30217244)
降旗 信一 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00452946)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 社会教育 / 防災教育 / 防災学習 / 災害 / 東日本大震災 / ボーイスカウト / 先住民族 / ESD |
Outline of Annual Research Achievements |
以下の4つの課題に沿って、研究を行った。 課題①「社会教育における防災教育の重要性と緊急性を実証する研究」では、4月に発生した熊本地震の被害状況と公民館等での取り組みの調査を緊急に実施し、地域における防災教育の意義と内容を確認した。一方、東日本大震災関連では、岩手県大船渡市、宮城県亘理町、福島県飯館村、川内村の継続的な調査研究を実施した。 課題②「被災想定地域における防災教育プログラムの開発と有効性に関する実証的研究」では、南海トラフ地震による災害が想定される高知県黒潮町、和歌山県田辺市、南紀熊野などでの防災教育プログラムの調査研究を各担当者が行った。一方、首都圏では首都直下型地震に対応する防災学習を公民館で展開している東京都国分寺市光公民館での具体的なプログラム開発を地域住民と行った。さらに、北海道では、東部の釧路市や浜中町での津波防災教育の取り組みに関するフォーラムを2016年6月に開催し、北海道での防災教育の展開の必要性を確認した。 課題③「特別研究課題への取り組み」では、関東大震災後の少年団(現在のボーイスカウト)による子どもの支援活動に関する歴史研究と同時に、東日本大震災、阪神・淡路大震災の子ども支援活動に関する資料収集を行った。先住民族の伝統的知恵を活かす防災教育のあり方については、北海道沙流川流域のアイヌ民族の口碑研究に基づき流域の防災教育の課題を検討し、地域住民や自治体にフィードバックを行った。 課題④「海外の実践・研究との交流、研究成果の発信」では、ニュージーランド・タウランガ市の教育機関との共同研究を実施し、具体的な学校防災の取り組みを発展させた。韓国では、セオル号事件以降に学校で普及しつつある学校安全教育の研究を行った。2017年カナダ・トロントで開催される世界先住民族教育会議での防災教育研究に関する発表準備をアイヌ民族関係者と行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全国各地の大学で社会教育・生涯学習研究を行う研究者19名による共同研究であり、各自の研究進捗にはばらつきがあるものの、全体としてはおおむね順調に進展している。とりわけ、本研究課題の目的である防災教育の具体的な地域展開に関しては、各研究者が関連の地方自治体や教育機関との連携により、具体的な防災教育プログラムの開発などに取り組んでおり、その研究成果も地域にしっかりとフィードバックできている。この点は、本研究課題が重視してきた点であり、実行できている点は評価できる。 2016年4月に発生した熊本震災関連で、被災当事者となった研究分担者がおり、一時的に研究が進まなかったが、被災地での当事者としての立場を活かしての研究を発展させており、今後も継続的な研究をネットワークを広げながら展開することが見込まれる。また、本研究のネットワークを通じて、熊本震災での教訓を生かす新たな共同研究も行われている。 国際的な共同研究や実践交流も進んでいる。特にニュージーランドとの研究交流は、具体的な国際共同セミナーに発展する可能性がある。同国タウランガ市の小学校校長が2名来日して被災地で公民館や学校を訪問し、被災経験やその後の防災の取り組みについて、質の高い交流が行われている。 一方、課題も残る。北海道の市町村職員がほとんど東日本大震災の被災地を訪れていないために、防災に対する意識が必ずしも高くなく、研究実践交流の交渉において困難が生じている。地道にラポールを形成したり、現地視察学習などを通じて、研究実践交流の主体づくりにも取り組んでいかなくてはならない。また、国際的な研究成果の発信においては、交流があるニュージーランドでは実施できているが、環太平洋の南北アメリカではまだ緒に就いたばかりとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年4月に熊本地震が発生して1年が経過するが、徐々にこの震災からの教訓を得るための研究が始まりつつある。とりわけ、熊本、九州の研究分担者を中心に、社会教育分野での共同研究を今年度も発展させたい。 また、昨年度から、特別研究課題の中に原子力災害に関する防災教育の検討を位置付けた。昨年度末に、避難指示が解除されて住民の帰還が可能となった市町村があるが、帰還住民の生活再建、地域の再興に社会教育は何ができるかを具体的な解決策を提示しながら検討していくことが求められている。 国際共同研究については、今年度、カナダ・トロントで開催される世界先住民族教育会議に参加し、先住民族の知恵を活かす防災教育の重要性について発信する予定であるが、成人教育分野での国際会議での位置づけは弱く、可能な限り、成人教育に関する国際会議で研究成果等を発信していく予定である。 研究成果の発表や情報発信について、ホームページ等を作成し、基本的なフレームは構築されており基本情報は提供できているが、英語版の作成などさらに充実させていく予定である。
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Research Products
(17 results)