2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H02057
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平地 健吾 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (60218790)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 複素解析 / 多変数函数論 / ベルグマン核 / 放物型幾何学 / 値分布論 / 特異点 / L2拡張定理 |
Outline of Annual Research Achievements |
国際的なワークショップ「L2拡張定理」を開催し参加者50名(海外から15名)を集めた.国内の複素解析幾何の研究発表の場として「特異点と多様体の幾何学」,函数論シンポジウム,多変数関数論冬セミナーを開催した.また若手研究者の情報交換のため函数論サマーセミナーを行った.
平地はCR幾何学に現れる全Q-prime曲率の変分公式に関する論文を完成させ投稿した.辻元はケーラー・リッチ流の時間離散化を考察し,その極限がケーラー・リッチ流を再現することを示した.後藤竜司は正則なポアソン構造の零集合が楕円曲線となる場合には変形は非障害的であり,その倉西族を特異ホモロジー群で与えた. 奥間智弘はp_gイデアルの研究を続け,有理型特異点の新たな特徴付けおよびgood idealsの存在定理を証明した.伊師英之は有界等質領域上の共変性をもつ正値函数から定義されるHartogs領域の荷重つきBergman核を明示的に記述した. 大沢健夫はヘルマンダーによるL2コホモロジーの同型定理を精密化しコンパクト多様体へ応用した.神本丈はニュートン多面体の幾何学的な性質から導かれる特異点解消を複素解析の研究に応用した.本多宣博はツイスター空間の代数幾何学的な構造に関して研究を行い,代数次元の制約に関する結果を得た.吉川謙一は馬昭平と共同で対合付きK3曲面の解析的捩率不変量τをボルチャーズ積とジーゲル保型形式を用い表示した.高山茂晴は複素多様体間の射影的な射に対し, その多重相対標準束およびその順像層の正値性に関する研究を行なった. 山ノ井克俊はアーベル多様体の部分多様体が一般型であれば,小林擬双曲的であることを,正規族についての強い結果から証明した.松村慎一は複素多様体上の随伴束の固有な正則写像による高次順像について研究し, Kollar-大沢型の消滅定理の一般化を与えた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
L2拡張定理についての近年の目覚ましい発展をまとめた本と大沢健夫が出版し,そこに登場する先端の研究者を集めた国際的なワークショップを開催することができた.若手研究者のためのミニコースを企画し研究者グループの活性化を図った.多変数函数論冬セミナーでは多くの若手研究者の発表を行い世代交代が順調に進んでいることが確認できた.
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度から20年の歴史のある国際研究会「多変数函数論葉山シンポジウム」を再開する.東京大学で行われる国際会議Trends in Geometryとつながる日程のためより多くの海外からの参加者を予定している.放物型幾何学の研究者である丸亀泰二氏を特任研究員として雇用し,研究とともに東京大学での毎週の複素解析幾何セミナーの運営を任せる.例年通り函数論シンポジウム,函数論サマーセミナー,多変数函数論冬セミナーを開催し最新の研究成果の発表を行う.
|
Research Products
(65 results)