2018 Fiscal Year Annual Research Report
Realization of spin functionalities based on persistent spin helix state in semiconductors
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15H02099
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
好田 誠 東北大学, 工学研究科, 准教授 (00420000)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スピン緩和 / スピン軌道相互作用 / 有効磁場 / ラシュバスピン軌道相互作用 / ドレッセルハウススピン軌道相互作用 / 永久スピン旋回状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、半導体においてスピン情報が失われる「スピン緩和」を根本的に解決する技術革新を提供し、スピン緩和の制限を全く受けない新規スピン機能創発とその素子応用を図るものである。この目的のなかで半導体のスピン軌道相互作用が持つ内部対称性に着目し、スピン緩和が完全に抑制される永久スピン旋回状態の物理とそのデバイス応用を目指している。本年度は、永久スピン旋回状態に対する高次のスピン軌道相互作用の効果について理論的な研究を行った。具体的には(001)と(110)結晶方位に成長した量子井戸構造において、ドレッセルハウス3次項の影響が異なることを明らかにし、さらにその影響が光学測定と電気測定に依存することを示した。この事は3次項の有効磁場がその大きさのみならず方向も極めて重要であることを意味し、今後の永久スピン旋回状態をデザインするための有用な指針を得た。また実験的にスピンモードが有する位相速度を考慮することでスピンダイナミクスの詳細を説明できることを明らかにした。この様な永久スピン旋回状態に関わる研究と共に、将来的なスピン制御に向けて、既存の手法とは全く異なるスピン軌道ロッキングを用いた新たなスピン制御法を実験的に確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4年目に入り、これまで蓄積してきたスピンダイナミクスの実験的および理論的な理解をもとに、新しい現象や物理を生み出すフェーズに移り変わりつつある。特に永久スピン旋回状態の安定性を決める高次のスピン軌道相互作用の影響については、これまでわかっておらず同時に応用上も極めて重要であることから、理論的に明らかにできた意義は大きい。さらに、スピン軌道相互作用を活用して、新規なスピン制御法を生み出すことが出来たことも、これまで蓄積してきたスピン軌道相互作用やスピン緩和機構の理解がもとになっている。これらの理由により、長距離スピン輸送やスピン制御に関連する高次の研究が展開されており、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる来年度は、これまで行ってきたスピン軌道相互作用の設計、スピン緩和機構やそのダイナミクスの解明と永久スピン旋回状態を用いたデバイス応用に向けた取り組みの集大成として、スピンモードの長距離輸送に関わる物理を明らかにし、スピンモードが有するこれまでにない物理を明らかにしていく。同時に、本研究開始する前までは分からなかったスピン拡散におけるスピン軌道相互作用の影響が、この4年間でかなり深く理解が進電気ていることから、最終年度はスピン拡散が生み出す新たな物理を明らかにし、拡散運動を制御することで、初めて分かるスピン揺らぎなどの影響に取り組んで行く。
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Research Products
(18 results)