2016 Fiscal Year Annual Research Report
超小型衛星利用を可能にするアナログ・デジタル混載型ワンチッププラズマ波動観測器
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15H02136
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小嶋 浩嗣 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (10215254)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 小型プラズマ波動観測器 / ASIC / アナログ・デジタル混載チップ / プラズマ波動 / 小型サーチコイル / 波動粒子相互作用 / 超小型衛星 / デジタルフィルタ |
Outline of Annual Research Achievements |
各研究項目における研究実績は次の通りである。 [アナデジ混載プラズマ波動観測チップ]アナログ部とデジタル部をつなぐ要となるADコンバーターについて、その設計内容の調整を行った。設計を終えたADコンバーターは単体のチップとして試作を行い、その動作を確認することができた。詳細な性能評価は、次年度に行うがADコンバーターの動作が確認できたことで、これまで開発してきたアナログ部のチップ上にデジタル部を同時にインプリメントできる状況まで開発を進めることができた。 [新型スペクトル観測装置] 新型スペクトル観測装置のアナログ部の要となるスイッチトキャパシタフィルターの特性改善を行った。具体的には、スイッチングの充放電タイミングを再設計することにより、アナログ部における波形歪みの現象を大幅に改善させることができた。これは、既知の信号を入力した際の高調波比として評価され、その改善は高品質のサイエンスデータを得るために必須のものであり、これが実現できたことにより、チップ化された観測器で従来の観測器に劣らない観測を行うことのできるアナログ部が実現できた。このアナログ部は、スペクトル観測器だけでなく、「波形捕捉型」のプラズマ波動観測器とも共通の部分であり、スペクトル型、波形捕捉型どちらのチップについても高品質化ができたことになる。 [小型磁場センサー] 先年度までに、チップ化に成功しているサーチコイル用プリアンプをサーチコイルコア内部にインストールした形式の小型サーチコイルの開発に成功した。プリアンプ部のリソースが実質的に不要となり小型化されたにもかかわらず、その性能は従来のものに比肩するものとなっていることも試作によって明らかにした。また、プリアンプを内蔵することにより耐放射線レベルの向上も期待できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アナログ・デジタル混載チップの実現を目指すテーマでは、一部、繰越を行っている部分もあるが、チップ内ノイズの影響を除けば、目指す性能のチップが実現できる見通しが整っている。特に、新型のスペクトル観測器チップについてはアナログ部の動作は安定しており、デジタル部との組合わせチップの評価が進んでいる。また、アナログ部とデジタル部をつなぐ要となるADコンバーターについては、その設計・試作・動作確認までに成功しており、本格的なデジタル部の設計が完了すれば、一つのチップとしてプラズマ波動観測器が実現できる目処がたってきた。チップ化プリアンプによる小型サーチコイルでは、コア内部にチップをプリアンプを内蔵させることに成功しており、ほぼ目的は達成されている。
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Strategy for Future Research Activity |
波形捕捉型観測器、および、新型スペクトル観測器両者において、必要となるデジタル部の本格的な設計と試作を行っていく。波形捕捉型では、波形圧縮デジタル部、スペクトル観測器ではFFT処理部、これらについてチップ化したものをアナログ部結合してプラズマ波動観測器のシステムとしての性能の評価を行っていく。アナログ部については、ノイズレベルの軽減もひとつの課題である。スイッチトキャパシタフィルターからのノイズ、またデジタル部と組合わせることによって回り込んでくるノイズ、これらのノイズの影響を評価、軽減する設計を追求することも本研究の目的達成に向けて大切な課題となる。
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Research Products
(11 results)