2015 Fiscal Year Annual Research Report
光電子アシスト有機薄膜CVD法と超薄膜DLC複合潤滑膜の開発
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15H02216
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
谷 弘詞 関西大学, システム理工学部, 教授 (40512702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多川 則男 関西大学, システム理工学部, 教授 (50298840)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | DLC / ヘッドディスクインターフェース / PFPE / CVD / 光電子 / 境界潤滑 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、(1)光電子アシストを用いた有機ガス分子の部分分解CVD法の開発、(2)光電子アシスト有機薄膜CVD法を用いた超薄膜DLC複合潤滑膜の開発、を主に進めた。 1.光電子アシスト有機薄膜CVD装置の開発 エキシマランプからの紫外線を照射しながら、バイアス電極とDLC基板間で真空チャンバー内に導入した有機ガスを部分的に分解しつつ成膜するCVD装置を試作した。さらにそのCVD装置を用いて、真空度、バイアス電圧、UV照射強度、ヒータステージ温度などの動作特性を確認し、実際にPFPE低沸点溶媒をチャンバー内に導入してフッ化炭素膜の成膜が出来ることを確認した。また、成膜した膜の構造をTOF-SIMSやラマン散乱スペクトル、XPSを用いて調査した。その結果、成膜されたフッ化炭素膜は、CVD前駆体材料の構造を維持しつつ、表面にほぼ100%の被覆率でかつ化学吸着していることを確認できた。 2.大気圧光電子アシストUV装置による複合潤滑膜の開発 DLC複合潤滑膜の開発に先立ち、通常のPFPE潤滑膜を塗布した磁気ディスクに上記UV照射を行い、低分子PFPEと高分子PFPE潤滑膜の複合潤滑膜形成を行った。まず、低分子PFPEとして分子量が異なるPFPE溶媒を数種類用いて、分子量と成膜される膜厚の関係を明らかにした。その結果、2Å程度の低分子PFPEを成膜可能であることが判明した。さらに、バイアス電圧を大きくすることで、化学吸着する量が増加することが分かった。そこで、磁気ディスクに通常の膜厚より薄い0.6~0.8nmのPFPE潤滑膜を塗布し、大気圧光電子アシストUV装置で低分子PFPE潤滑膜を成膜した複合潤滑膜作成した。この複合潤滑膜の被覆性、耐摩耗性、ヘッド浮上クリアランス、耐食性を評価したが、表面エネルギーは低くなり被覆率は向上したが、ヘッド浮上性が悪くなったため、検討を打ち切った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、光電子アシストCVD装置を試作して、成膜したPFPE膜の評価を行い、その膜が高い被覆率を示しており、表面エネルギーも小さいことを確認できたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は下記の研究を進める。 1.超薄膜DLC複合潤滑膜の開発 試作した光電子アシスト有機薄膜CVD装置を用いて超薄膜DLC複合潤滑膜を作成し、成膜条件(電圧、温度、ガス流量)や潤滑剤(主鎖構造、末端基構造)を変えて、そのトライボロジー特性を調査する。第1層はバイアス電圧・周波数を高くして光電子プラズマ密度を増加し、低分子PFPEの分解を促進させて、固体状のPFPE膜をDLC表面に強固に形成し、耐食性・低表面エネルギーを実現する。その上に第2層として通常のPFPE潤滑剤の主鎖を分解させずに末端を分解させ第1層の固体状PFPE膜に化学吸着させることで、低摩擦・低摩耗を実現する。作成したDLC複合潤滑膜は、磁気ヘッドを用いた浮上性評価、耐摩耗性評価、摩擦・摩耗の温度依存性評価などを行い、磁気ディスクへの応用可能性を見極める。 2. DLC膜と潤滑剤・添加剤のトライボ化学反応の解明 DLC膜とのトライボ化学反応の解明のために、以下の3項目について検討を行う。(1)光電子捕獲量の確認と潤滑剤吸着構造・分子構造変化の解析:末端構造・主鎖の異なる潤滑剤や添加剤(PFPE潤滑剤、脂肪酸、アルコール、ZDDP, MoDDPなど)を1nm程度DLC表面に塗布して、UV照射を行い、光電子捕獲量と潤滑剤・添加剤の構造変化をTOF-SIMS、XPS、ラマン分光を用いて解析する。(2)外部電場制御型ピンオンディスク試験機の開発:ピンオンディスク試験機に外部電場を与えるための電極とトライボ電子検出電極を追加して、摩擦時のトライボ電子発生量を制御可能な試験機を開発する。
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Research Products
(16 results)
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[Presentation] DEVELOPMENT OF SMALL SKEW ANGLE ACTUATOR FOR TDMR2015
Author(s)
Yoshihito Hariba, Shinji Koganezawa, Hiroshi Tani, and Norio Tagawa
Organizer
JSME-IIP/ASME-ISPS Joint Conference on Micromechatronics for Information and Precision Equipment (MIPE2015)
Place of Presentation
Kobe International Conference Center, Kobe, Japan
Year and Date
2015-06-14 – 2015-06-17
Int'l Joint Research
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[Presentation] THERMAL DECOMPOSITION OF ULTRA-THIN PFPE ANALYZED BY TOF-SIMS2015
Author(s)
Hiroaki Asada, Hiroshi Tani, Shinji Koganezawa, and Norio Tagawa
Organizer
Proceedings of the 2015 JSME-IIP/ASME-ISPS Joint Conference on Micromechatronics for Information and Precision Equipment (MIPE2015)
Place of Presentation
Kobe International Conference Center, Kobe, Japan
Year and Date
2015-06-14 – 2015-06-17
Int'l Joint Research
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