2015 Fiscal Year Annual Research Report
触知覚センシングにおける軟組織のダイナミクス・トライボロジー
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15H02230
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
平井 慎一 立命館大学, 理工学部, 教授 (90212167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 茂廣 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60220042)
田中 弘美 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (10268154)
野間 春生 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (00374108)
三谷 篤史 札幌市立大学, デザイン学部, 講師 (70388148)
井上 貴浩 岡山県立大学, 情報工学部, 准教授 (60453205)
王 忠奎 立命館大学, 理工学部, 助教 (50609873)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 触覚 / 柔軟指 / 滑り覚 / 初期滑り / 有限要素モデル / ダイナミックシミュレーション / 触覚センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,指先の力学モデルを構築して指先の滑り覚を解析するとともに,ホール素子を用いた触覚センサの開発を進めた. 1. 指先の3次元力学モデルを構築した.指先のMR画像の各スライスに対して,末節骨と指表面の輪郭を抽出し,すべてのスライスにおける輪郭を接続することにより,末節骨と指表面の三次元形状を得た.皮膚の厚みを一定値の1mmと仮定し,指表面を厚みの分だけ縮小することで,皮下組織の表面とした.これらの表面を有限要素ソフトウェアABAQUSにインポートし,指先の幾何モデルを構築した.末節骨,皮下組織,皮膚は弾性体であると仮定し,それぞれのヤング率,ポワソン比,密度の値を定め,指先の力学モデルを構築した.指先モデルが表面に接触し,その上を滑るダイナミックシミュレーションを実施した.その結果,構築した力学モデルが,初期滑り現象を模擬できることがわかった.さらに,指表面と指内部のミーゼス応力を解析した結果,接触領域の境界で応力の値が大きいことがわかった. 2. 皮膚のマイクロ構造と触覚受容器の配置が触覚に与える影響を解析するために,3次元モデルの断面から指先の2次元力学モデルを構築した.モデルの次元を減らしたのは,計算時間を短縮するためである.一方,皮膚を表皮と真皮に分割するとともに,指紋を模擬するマイクロ構造と,表皮と真皮の境界面のマイクロ構造を導入した.さらに,触覚受容器のFA-I, FA-II, SA-I, SA-IIを指モデルの内部に配置した.従来より滑りの検出に有効であると言われている触覚受容器におけるひずみエネルギー密度を計算した結果,ひずみエネルギー密度を用いて検出することは困難であるという結論を得た.一方,末節骨の形状に依り,ひずみエネルギー密度の反応が異なることがわかった. 3. 柔軟指の内部に磁性体と複数のホール素子を埋め込み,磁場に起因するホール素子の計測値から接触を検出するセンサを試作した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
指先の力学モデルの構築と滑りのダイナミックシミュレーション,ホール素子を用いた触覚センサの開発は,順調に進展している.また,三次元プリンタによるモデルの試作を始めており,実験に供することが可能になっている.
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Strategy for Future Research Activity |
初期滑りの検出において,ひずみエネルギー密度を用いることが困難であるという,当初の考えとは異なる結果が得られており,この点に関しては,さらなる解析が必要である.さらに,三次元プリンタを用いて,指先の実体モデルを構築し,シミュレーションモデルによる解析結果と実体モデルによる実験結果を比較する.また,ホール素子を用いた触覚センサの開発においては,有限要素モデルを適用することを試みる.
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Research Products
(14 results)