2016 Fiscal Year Annual Research Report
Design of perpendicularly magnetized multiferroic
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15H02292
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 満 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (30151541)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マルチフェロイックス / 強誘電性 / フェリ磁性 / 電圧磁化制御 / 薄膜 / PLD |
Outline of Annual Research Achievements |
均一系の研究では,k-Al2O3型酸化物およびYMnO3型酸化物を中心にして薄膜合成を行い強誘電性と磁性を評価した.k-Al2O3型酸化物ではAxFe2-xO3のうちA=Al, Ga, Fe, Rh, Sc, Inの薄膜合成を行った.A=Al系では0<x<1.75までの範囲で固溶体薄膜を得ることに成功した.組成変化に伴って,TNは連続的に減少するが,飽和磁化はx~1不均で極大を示す事が確認され,これが4つのカチオンサイトのうちAlが占有するサイトに依存することが判明した.A=Ga系ではリークが大きいものの,広い組成域で固溶体が形成し,TN付近での磁気抵抗の異常,基板の種類と方位を変化させることにより結晶の方位を変化させる事が可能なことを確認した.A=Fe系では室温で強誘電性を確認する事ができた.A=Rh系では抗磁界が一連の系では一番大きいことを確認した.A=Sc系ではk-Al2O3型のみならず,基板の種類を変化させることにより5つの構造が出現し,このうち,強誘電相はk-Al2O3型とYMnO3型であることが判明した.ScFeO3に関しては室温でリークが少なく強誘電性が測定しやすいことを確認した.A=In系ではSc系と同様に室温でリークが少なく強誘電性が測定しやすいことを確認した.また,AサイトにGaとScあるいはInを共置換することで,リークが少なく,磁化が大きい薄膜を得ることとができることを確認し,置換元素が選択的に特定のサイトを置換することが検証された.また,TEMによる組織観察も行っており,第1原理計算の結果と組み合わせて組織,電子構造,フォノン構造,磁気的相互作用の観点から物質設計をおこなうことで室温におけるマルチフェロイック特性を実現するための戦略を調えた.ヘテロ系で磁性体膜の分極反転を最大限大きくするためにBaTiO3薄膜を堆積し面内配向する膜の作製に成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,室温マルチフェロイック特性確認のため,物質系開拓を重点的に行った.その結果,従来のマルチフェロイックスが電気的リークが大きいため室温で動作させにくいという欠点を克服するため,元素置換を系統的に行い,これを従来のバルクあるいはナノ粒子の研究と組み合わせることにより結晶化学的観点から直感ではなく科学的現象を説明しながら,リーク特性を改善しながら,磁化も最大限大きくすることに成功した.従来は,BiFeO3に限られてきた室温動作型マルチフェロイックの研究が大きく前進することになるという意味で‘順調に進展している’という判断を下した.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの結果を踏まえ,均一系マルチフェロイックスのk-Al2O3系,YMnO3系のマルチフェロイック特性を調べ,さらにヘテロ系に関しても同様な測定を実施する予定である.概ね申請時の研究計画に準じて実験を遂行する予定である.
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[Journal Article] Crystal Isomers of ScFeO32016
Author(s)
Yosuke Hamasaki, Takao Shimizu, Shintaro Yasui, Tomoyasu Taniyama, Osami Sakata, and Mitsuru Itoh
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Journal Title
Crystal Growth & Design
Volume: 16
Pages: 5214 5222
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] k-Al2O3型(A,Fe)2O3(A=Al,Ga,Fe,Sc,Rh,In)酸化物の強誘電性と磁性2017
Author(s)
伊藤 満, 濵嵜 容丞, 片山 司, 越阪部 拓也, 安井 伸太郎, 谷山 智康
Organizer
日本物理学会第72回年次大会
Place of Presentation
大阪
Year and Date
2017-03-17 – 2017-03-20
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[Presentation] k-Al2O3型(A,Fe)2O3 (A=Al, Ga, Fe, Rh, Sc, In)薄膜の磁性と強誘電性2017
Author(s)
伊藤 満, 濵嵜 容丞, 片山 司, 安井 伸太郎, 谷山 智康
Organizer
日本化学会第97春季年会
Place of Presentation
横浜
Year and Date
2017-03-16 – 2017-03-19
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[Presentation] Ferroelectricity and Ferrimagnetism in k-Al2O3-type (A, Fe)O3 (A=Al, Ga, Fe, Sc, and In)2016
Author(s)
Mitsuru Itoh, Yosuke Hamasaki, Ayako Konishi, Hiroki Moriwake, Shintaro Yasui, Tsukasa Katayama, and Tomoyasu Taniyama
Organizer
nternational Conference on Technologically Advanced Materials & Asian Meeting on Ferroelectricity (ICTAM-AMF10)
Place of Presentation
Dehli, Insia
Year and Date
2016-11-07 – 2016-11-11
Int'l Joint Research / Invited
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[Presentation] k-Al2O3型構造強誘電体の作製2016
Author(s)
安井 伸太郎, 濵嵜 容丞, 伊藤 満, 小西 綾子, 森分 博紀, 白石 貴久, 木口 賢紀
Organizer
「学際・国際的高度人材育成ライフイノベーションマテリアル創製 共同研究プロジェクト」(六研連携プロジェクト)キックオフ公開討論会
Place of Presentation
名古屋
Year and Date
2016-07-08 – 2016-07-08
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