2015 Fiscal Year Annual Research Report
シリカ膜のナノチューニングと超薄膜製膜プロセッシングの確立
Project/Area Number |
15H02313
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
都留 稔了 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20201642)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
郡司 天博 東京理科大学, 理工学部, 教授 (20256663)
伊藤 賢志 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 物質計測標準研究部門, 研究グループ長 (90371020)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 分離 / 膜 / 気体 / ナノろ過 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,シリカネットワークの間隙サイズにより分子選択性を発現するMolecular-Net Sieving Technologyにより,超薄膜アモルファスシリカ膜を創製し,化学プロセスの革新的分離を可能とする。まず,①各種構造のアルコキシシランの調製を行い,②陽電子消滅法,吸着エリプソメトリー法・赤外分光法により,Molecular-Net構造の評価とスクリーニングを行なう。③膜厚50nm以下の超薄膜分離層を形成し,気体および液相系分離系へ応用する。さらに,化学プロセス強化を現実化するために,高分子基材への大面積製膜技術を確立することを目的とする。それぞれの研究項目は以下の様にまとめられる。 ①構造化アルコキシドの合成:オクタキスジメチルシロキシオクタシルセスキオキサンとジフェニルシランジオールの反応において,反応条件を最適化することにより中程度の分子量を有する重合体を得た。また,重合体のテトラヒドロフラン溶液を加熱することにより,無色透明で透過率が高く硬質な自立膜を調製することができた。 ②特性評価とスクリーニング:蒸気吸着偏光解析法の高信頼性化に資するため100nmCVDシリカ及びシリコン熱酸化膜のメタノール吸着等温線の測定を試み、得られた結果を陽電子消滅法による細孔構造と比較した。また,走査型トンネル顕微鏡を構築し、標準試料を用い大気中にて動作確認を実施した。 ③製膜プロセッシングと特性評価:コーティング技術として,瞬間接触コーティング法を中心として,ディップコーティング法,界面重合法,spin-spray coating法を検討した。ゾル調製において,調製ゾル溶液のpHを酸→アルカリ→酸に変化させるpH-swing法が,ゾル粒径の調整に有効であることを明らかにした。さらに,ポリエーテルスルホンナノろ過膜への製膜を検討した結果,オルガノシリカ膜の製膜が可能であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3研究機関は連携しながら研究を進めており,おおむね順調に進展している。それぞれの理由は以下の様にまとめられる。 ①構造化アルコキシドの合成:オクタキスジメチルシロキシオクタシルセスキオキサン重合体を合成する方法を確立した。また,その溶液を加熱することにより無色透明で硬質な自立膜を調製する方法を確立した。 ②Molecular-Net Sieving材料の特性評価とスクリーニング:陽電子寿命測定の結果からCVDシリカ膜及びシリコン熱酸化膜はそれぞれ0.62nmと0.45nmの細孔径を有することがわかり,メタノール吸着等温線からは、CVDシリカ膜でのみ1%程度のミクロ孔が有意に観測できた。緻密と思われるシリカ超薄膜中のミクロ孔解析も可能であることが示された。また,走査型トンネル顕微鏡により標準試料として高配向熱分解グラファイト基板表面の原子構造を反映する像を取得できた。 ③Molecular-Net Sieving膜の製膜プロセッシングと特性評価:pH-swing法によりゾル粒径を制御したオルガノシリカ膜は,従来法である酸ゾルと比べて,ほぼ同じ選択性で,数倍程度高い透過率を示すことを明らかとした。さらに,高分子基材へのオルガノシリカ膜の製膜に成功したから。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の研究内容を継続検討することで深堀するとともに,以下を新たに研究項目として追加する。 ①構造化アルコキシドの合成:ジメチルシロキシ基を有するPOSSの重合体を合成するために,様々なアルカンジオールを始めとしてアルケンジイル基やアルキンジイル基を有するアルコールとの反応により,剛直なリンカーを有する重合体の合成を検討する ②Molecular-Net Sieving材料の特性評価とスクリーニング:蒸気吸着偏光解析法と陽電子寿命法によりシリカ系超薄膜及びその素材の評価を進めるとともに,測定結果の定量化に資するため,気体吸着法との整合性の評価を進める。また,細孔構造解析の高度化を図るため、細孔サイズに加え,細孔表面の化学構造の解析法を確立する。そのために表面官能基の状態の異なる多孔質シリカ膜を作製し,異なる吸着質による吸着偏光解析や陽電子寿命運動量相関測定を行う。 ③Molecular-Net Sieving膜の製膜プロセッシングと特性評価:pH-swing法の最適化として,酸の種類,酸モル比,反応温度を検討し,より高選択透過膜の開発の指針を得る。さらに,本研究では高トルクスピンコーターを改造し,強力な剪断場で市販アルコキシドを中心として用いて,2次元シリカポリマー調製を行う。さらに,新たなコーティングフィルムおよびパウダー試料の評価法として,薄膜赤外分光法および示差熱重量測定法によるに吸着種,吸着量,および吸着熱の測定法の確立を行う。
|
Research Products
(18 results)