2015 Fiscal Year Annual Research Report
がん染色体動態をもたらす染色体パセンジャー複合体の構造と機能
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15H02365
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
広田 亨 公益財団法人がん研究会, がん研究所・実験病理部, 部長 (50421368)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 染色体不安定性 / 細胞分裂 / 染色体動態 / 分裂期キナーゼ / 動原体 / セントロメア / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞分裂では染色体を正常に過不足なく分配されることが基本であるが、それには染色体を分ける微小管が正確に結合することが前提である。この仕組みはAurora Bというリン酸化酵素によってなされていることが近年の研究から明らかになっている。本研究では、このAurora Bが適正に働くためにはHP1という補助分子の関与が不可欠であること、即ち、HP1はAurora Bのアロステリックな活性化因子であることを見出した。試験管内での酵素速度論的解析によって、Aurora Bキナーゼの酵素反応効率を示すkcat値はHP1の存在によって約2倍高くなることが判明した。この結果より、細胞内でHP1と結合したAurora B複合体の量が減少するとAurora Bの機能が低下し、微小管の接続エラーが生じて染色体の分配が失敗するようになると示唆された。実際に、正常二倍体細胞においてHP1の結合が起こらないようにして、細胞分裂像を観察したところ、染色体分配異常(細胞分裂異常)が誘導され、本仮説が正しいことが示された。次いで、正常二倍体細胞と異数体となったがん細胞におけるAurora B複合体の状況を検討した。具体的には、正常細胞株と種々のがん細胞株のM期細胞を集めて、Aurora B複合体(HP1α/INCENP)を免疫沈降により精製し、そこに共沈するHP1の量を調べた。その結果、正常二倍体細胞株と比べ、調べ得た全てのがん細胞株でHP1の結合量が著しく減少していることが判明した。つまり、オーロラBに結合するHP1の量が減少していること、そしてその結果、オーロラBの酵素活性が低下していることを見出すことができた。これらの知見に基づいて、「がん細胞ではオーロラB複合体の量的な不均衡を来した結果、オーロラBのはたらきが弱まり染色体の分配異常を誘発している」ことを提唱した(Developmental Cell 36: 489-497, 2016)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究構想に沿って効率よく研究を進めて論文発表に至ることができた。論文査読の過程で幾つかの本質的な指摘を受けたが、それらに応えることによって、HP1がCPCにどのような役割を持っているかを生化学的に追求することができたことは、今後、構造学的解析を進めていく上で有意義である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は計画どおりに推進する。特に、HP1-CPCの相互作用の構造生物学的な解析、細胞の悪性化とHP1-CPCの形成との関連性の解析に力を入れて研究を進める。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] HP1-assisted Aurora B kinase activity prevents chromosome segregation errors.2016
Author(s)
Abe, Y., Sako, K., Takagaki, K., Hirayama, Y., Uchida, KSK., Herman, J., DeLuca, JG., and Hirota, T.
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Journal Title
Developmental Cell
Volume: 36
Pages: 487-497
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Esco1 acetylates cohesin via a mechanism different from that of Esco22015
Author(s)
Minamino, M., Ishibashi, M., Nakato, R., Akiyama, K., Tanaka, H., Kato, Y., Negishi, L., Hirota, T., Sutani, T., Bando, M., Shirahige, K.
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Journal Title
Current Biology
Volume: 25
Pages: 1694-1706
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] がんと染色体2015
Author(s)
広田 亨
Organizer
第69回日本臨床細胞学会細胞検査士教育セミナー
Place of Presentation
東京
Year and Date
2015-08-30
Invited
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