2015 Fiscal Year Annual Research Report
不活性アルキル鎖のC-C結合開裂:新たなブレークスルーの創出
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15H02490
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
向 智里 金沢大学, その他部局等, 理事・副学長 (70143914)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アレン / ロジウム / 環化付加反応 / 環化異性化反応 / 炭素-炭素結合活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
集積型二重結合であるアレンを基盤とし、Ⅰ. 環歪みを利用しない炭素-炭素結合活性化法の開発, Ⅱ. 新たな反応場による炭素-炭素結合活性化法の開発, Ⅲ. 本活性化法を利用した,生理活性天然物の効率的合成法の開発の3つのテーマ遂行を目処に研究を展開した。 テーマIでは当初、歪みのない炭素-炭素結合活性化を検討していたが、今回ヘテロ原子を含むヘテロシクロブタン-アレン-アルキン体をRh触媒と処理することにより、8員環構造を含むヘテロビシクロ[6.4.0]骨格が形成できることを見出した。本法は環歪みを利用しているが、これまで炭素環上の炭素-炭素結合のみを活性化していた手法が、複素環内の炭素-炭素結合活性化にも適用可能であることを見出したものであり、その意義は大きいと考えている。 またテーマⅠ,IIの遂行を目的に種々検討を行った所、オレフィン-アレン-アルキン体及びベンジルアレン-アルキン体を用いてそれぞれRh触媒と処理すると、[2+2+2]環化付加や新規環化異性化反応が進行することも見出した。これらも結果的には炭素-炭素結合活性化を伴ったものではなかったが、新たな反応形式を提供したものであり、その重要性は高いと確信している。 テーマIIIについては、ヘテロビシクロ[6.4.0], [7.4.0]骨格の構築を基盤とした天然物合成を計画しており、初期計画とは異なるものの、ビスアレン体を用いたRh触媒による環化異性化反応、続くヘテロDiels-Alder反応により、目的とする母核の効率的構築法を見出すに至った(本結果はEur. J. Org. Chem.に投稿し、受理された)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
立案した3テーマはいずれも初期目標とは異なるものの、いずれのテーマにおいても大きな進展が見られ、かつそれらの新規性、重要性を加味した所、現在までの進捗状況はおおむね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
テーマI,IIについて ヘテロシクロブタン-アレン-アルキン体を用いた環化付加反応では、今後化合物のデータ収集を行い、論文作成を行っていく。また、オレフィン-アレン-アルキン体及びベンジルアレン-アルキン体を用いた各種環化反応についても現在、適用限界、反応機構についてを見定めている最中であり、今後その展開とともに化合物データ収集を行い、論文投稿を目指す。 テーマIIIについて 今後、初期計画及び今回見出した新たな構築法を用いて、blumiolide等の天然物合成を試みる。
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Research Products
(18 results)