2018 Fiscal Year Annual Research Report
超高感度半導体臭化タリウムを用いた散乱吸収一体型コンプトンカメラの開発
Project/Area Number |
15H02523
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
人見 啓太朗 東北大学, 工学研究科, 准教授 (60382660)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野寺 敏幸 東北工業大学, 工学部, 講師 (10620916)
渡辺 賢一 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (30324461)
金 聖潤 東北大学, 工学研究科, 准教授 (50574357)
長野 宣道 東北大学, 工学研究科, 助教 (60757673)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 放射線、X線、粒子線 / ガンマ線 / コンプトンカメラ / 半導体検出器 / 結晶成長 / 臭化タリウム / 位置敏感型検出器 / ガンマ線検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンプトンカメラは核医学診断においては複数元素同時イメージング、粒子線治療においては線量分布の可視化への応用が期待されている。しかしながら、既存のコンプトンカメラはそれらの応用で利用されるガンマ線に対して感度が十分ではないという問題がある。本研究は超高感度半導体、臭化タリウム(TlBr)を用いた散乱吸収一体型のコンプトンカメラを開発し、高エネルギーのガンマ線に対して高感度を示すコンプトンカメラの実現を目的とする。 平成30年度はTlBr検出器の大型化を中心に研究を行った。 1. 高品質でかつ大型のTlBr結晶を得るために傾斜帯溶融法を開発し、結晶育成を行った。TlBr素材を帯域精製法により純化した。精製回数が十分となったところで、高純度部に結晶が集まるように水平電気炉に傾斜を付けて更に帯域精製を行った。純化後に電気炉の移動速度を減少させて帯溶融を行うことにより大型のTlBr結晶を得た。 2. 育成した高純度大型TlBr結晶を用いてTlBr検出器を製作した。結晶の切り出し、表面研磨を行い、約11 mm厚のTlBr結晶上にピクセル電極を形成することによりガンマ線検出器を製作した。241Amからの60 keVのガンマ線を用いて検出器を室温において評価したところ、60 keVのガンマ線ピークが得られ、電子が約11 mmの結晶中を少ない損失で移動することが確認できた。 以上に記すように平成30年度は高品質・大型のTlBr結晶の育成に成功するとともに、1 cm以上の厚さを有するTlBr検出器の開発に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は傾斜帯溶融法を開発し、高品質の大型TlBr結晶を育成することに成功した。さらに、育成した大型結晶を用いてガンマ線検出器を製作したところ、11 mm厚と大型の検出器であるにもかかわらず良好な特性が得られた。以上の大型結晶育成技術および検出器製作技術に関する成果は本研究の目的達成に大きく貢献するものである。このため、本研究は概ね順調に進展していると結論付けた。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は本研究の最終年度であるため、結晶成長、検出器製作、信号読出・処理に関する研究を行いTlBrを用いたコンプトンカメラ研究の総括を行う。以下に今後の研究の推進方策を示す。 ・検出器の母材となるTlBr結晶の育成技術に関する研究を行う。素材の純化方法の検討、結晶育成方法の検討を行い、高品質でかつ大型のTlBr結晶を育成する技術の研究を行う。 ・TlBr結晶の表面処理方法や電極形成技術の検討を行い、大型・高性能で安定に動作するTlBr検出器製作技術の完成を目指す。 ・TlBr検出器からの信号読出方法に関する研究を行う。さらに1 cm厚の大型TlBr検出器に最適な信号処理方法の開発を行う。 ・大型のTlBr検出器を用いたコンプトンイメージング方法の開発を行う。
|
Research Products
(3 results)