2017 Fiscal Year Annual Research Report
次世代手法でのノックインラットと人工患者iPS細胞を用いたてんかんの分子治療開発
Project/Area Number |
15H02548
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
廣瀬 伸一 福岡大学, 医学部, 教授 (60248515)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 小児神経 / てんかん / イオンチャネル / iPS細胞 / 実験動物 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らが設立・管理するてんかん遺伝子バンクと次世代シークエンサーを利用して変異をスクリーニングした。その結果、主に乳児早期てんかん性の脳症で多数の遺伝子変異を発見した。なかでも、若年性ミオクローヌスてんかんで、世界で初めてその原因として腸管細胞キナーゼをコードするICK遺伝子に複数の疾患変異を発見した。てんかんに腸管細胞キナーゼの関与を示した初めての事例となった。さらにてんかん脳症の患者でパネルシークエンスにても遺伝子が同定出来なかった患者200名以上をトリオでエクソームシークエンスを実施中である。 動物作出としては、KCNQ2脳症とKCNQ2良性てんかんの遺伝子変異が同じアミノ酸に起こる場合があるが、両方の遺伝子改変マウスを作出することに成功した。 SCN1A遺伝子異常を持つDravet症候群の患者1人から新たにiPS細胞を樹立した。さらにすでに樹立していたDravet症候群の患者から樹立したiPS細胞を遺伝子編集技術をつかうことにより、“人工健常iPS細胞”を作出し報告した。さらにiPS細胞を特異的にグルタミン酸作動性の興奮性ニューロンまたはGABA作動性の抑制性ニューロンに分化誘導させる方法を用いて、Dravet症候群では興奮性ニューロンの電気活動は変わりないが、抑制性ニューロンの応答が悪いことを示した。これを利用して、多電極解析装置を使って薬物のrepositioningを始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の本研究の具体的な目標は以下の三点であった。A.てんかん遺伝子バンクの資料をもとに、次世代シークエンサーにより遺伝子変異を同定する。B.見出された遺伝子変異を有するさらなる遺伝子改変動物を作出し、てんかんの分子病態を in vivo で明らかにする。C.変異を導入した“人工患者iPS細胞”を用いて、てんかんの分子病態をex vivo で明らかにする。A.に関して若年性ミオクローヌスてんかんで、世界で初めてその原因として腸管細胞キナーゼをコードするICK遺伝子に複数の疾患変異を発見した。さらに、てんんかん脳症の患者でパネルシークエンスにても遺伝子が同定出来なかった患者200名以上をトリオでエクソームシークエンスを開始することが出来た。B.に関して、KCNQ2脳症とKCNQ2良性てんかんの遺伝子変異が同じアミノ酸に起こる場合があるが、両方の遺伝子改変マウスを作出することに成功した。この二系統のマウスはKCNQ2の変異がなぜ、重症と軽症のてんかんになるのかを探るのに相応しいモデル動物になると思われる。C.に関して、SCN1A遺伝子異常を持つDravet症候群の患者1人から新たにiPS細胞を樹立した。さらにすでに樹立していたDravet症候群の患者から樹立したiPS細胞を遺伝子編集技術を使うことにより、“人工健常iPS細胞”を作出し論文を出版した。加えてiPS細胞を特異的にグルタミン酸作動性の興奮性ニューロンまたはGABA作動性の抑制性ニューロンに分化させる方法を用いてドラッグリポジショニングを開始できた。以上より、研究の進捗をおおむね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今までの研究期間で、研究は当初の目的、目標にしたがいおおむね順調に進展しているため、今後の研究も従来の方策をさらに拡大していくことを目指している。具体的にはA.てんかん遺伝子バンクの資料をもとに、次世代シークエンサーにより遺伝子変異を同定する方策をさらに加速して、今回のDravet症候群で得られたように、遺伝子型と表現型の関係を、他の素因性てんかんで明らかにしてとくに、Dのてんかんの予防法・治療法に寄与できるようにする。 B.見出された遺伝子変異を有する“ラット”ずマウスなどの齧歯類の遺伝子改変動物を作出したので、脳スライスの電気生理学的研究を利用して、てんかんの分子病態を in vivo で明らにする予定である。C.変異を導入した“人工患者iPS細胞”等の、isogenicなiPS細胞を利用して、素因性てんかんの分子病態をex vivo で明らかにする予定である。 D. BとCを利用し、とくにすで確立したiPS細胞を特異的にグルタミン酸作動性の興奮性ニューロンまたはGABA作動性の抑制性ニューロンに分化誘導させる方法を利用し、ハイスループット機器にて、drug repositioningを進め、分子病態に基づく革新的なてんかんの予防法・治療法を開発することに注力する予定である。尚、同時に作出動物を使った遺伝子治療も計画中である。
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[Journal Article] Generation of D1-1 TALEN isogenic control cell line from Dravet syndrome patient iPSCs using TALEN-mediated editing of the SCN1A gene.2018
Author(s)
Tanaka Y, Sone T, Higurashi N, Sakuma T, Suzuki S, Ishikawa M, Yamamoto T, Mitsui J, Tsuji H, Okano H, Hirose S.
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Journal Title
Stem Cell Res.
Volume: 28
Pages: 100-4.
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Variant Intestinal-Cell Kinase in Juvenile Myoclonic Epilepsy.2018
Author(s)
Bailey JN, de Nijs L, Bai D, Suzuki T, Miyamoto H, Tanaka M, Patterson C, Lin YC, Medina MT, Alonso ME, Serratosa JM, Duron RM, Nguyen VH, Wight JE, Martinez-Juarez IE, Ochoa A, Jara-Prado A, Guilhoto L, Molina Y, Yacubian EM, Lopez-Ruiz M, Inoue Y, Kaneko S, Hirose S, et al.
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Journal Title
N Engl J Med
Volume: 378(11)
Pages: 1018-28
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Rare variants of small effect size in neuronal excitability genes influence clinical outcome in Japanese cases of SCN1A truncation-positive Dravet syndrome.2017
Author(s)
Hammer MF, Ishii A, Johnstone L, Tchourbanov A, Lau B, Sprissler R, Hallmark B, Zhang M, Zhou J, Watkins J, Hirose S.
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Journal Title
PLoS ONE.
Volume: 12(7)
Pages: e0180485.
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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