2015 Fiscal Year Annual Research Report
多機能抑制性B細胞による臓器移植の新規脱感作・免疫寛容誘導法の開発
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15H02555
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大段 秀樹 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 教授 (10363061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 友加 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 准教授 (90432666)
尾上 隆司 独立行政法人国立病院機構(呉医療センター臨床研究部), 免疫応用科学研究室, 室長 (90549809)
小林 孝彰 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70314010)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 臓器移植 / 免疫寛容 / B細胞 / 拒絶反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、新たに確認した複数の制御機能を併せ持つ多機能免疫抑制性B細胞(multi-potent suppressor B cells: m-sup B 細胞)の移入(donor lymphocyte infusion: DLI)によりアロ応答性T/B細胞を選択的に抑制することで、臓器移植におけるunmet medical needsである脱感作および免疫寛容の誘導法を開発する。複数の細胞死誘導分子を表出し、かつ抗炎症性サイトカインを分泌するm-sup B 細胞を選択的に使用する養子免疫は、古典的DLIとは峻別される革新的免疫抑制療法となり得る。 マウスの腹腔内に内在するCD11b+CD5+ B-1a細胞の内、複数の細胞死誘導分子や抗炎症性サイトカイン産生能を併せ持つm-sup B 細胞(MHC class II+ CD80+ CD86+ PD-L1+ PD-L2+)サブクラスを発見し、リンパ球混合試験でアロT細胞抑制機能を確認した。m-sup B 細胞をアロジェニックの組み合わせで移入すると、抗原特異的なアロT細胞応答およびアロ抗体の産生が有意に抑制された。Balb/c由来のm-sup B 細胞をBalb/c NOD/SCID/γcnull miceに移入すると、観察期間中フェノタイプ(MHC class II+ PD-L1+ PD-L2+)を保持し、安定した免疫抑制機能が維持されることを確認した。 また、ヒト末梢血CD20+CD27- naive B細胞をB細胞受容体に対する抗体で架橋し、CD5+ B-1細胞への分化条件によりPD-L1/2 + m-sup B細胞が誘導し得ることを確認し、アロT細胞応答抑制能を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスモデルによる多機能免疫抑制性B細胞(multi-potent suppressor B cells: m-sup B 細胞)の誘導とアロ応答制御機構の解明およびm-sup B細胞を用いたdonor lymphocyte infusion (DLI)による脱感作の実験は順調に施行でき、成果が得られた。また、ヒトでは細胞死誘導分子を細胞膜に表出したnaive B細胞は同定できなかったが、in vitroでB細胞受容体抗体で架橋するとPD-L1/PD-L2の表出を認め、順調に研究が進展している。一方で、上述のm-sup B細胞から免疫抑制性のエクソソームは未だ分離できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスモデルによる多機能免疫抑制性B細胞(multi-potent suppressor B cells: m-sup B 細胞)を用いたdonor lymphocyte infusion (DLI)による骨髄移植後GVHD予防効果と心臓移植後生着延長効果の検討を進める。放射線照射したBalb/cマウスにB6マウスの骨髄と脾臓T細胞を移入し、その後Balb/cマウスの腹腔内より採取したPD-L1/2を発現した多機能抑制生B細胞を移入後、GVHDスコアと生存率を検討する。また、B6マウスの多機能抑制性B細胞をBalb/cマウスに移入後、B6マウスの心臓を移植し、生着率を検討する。IL-10, IL-35, PD-L1/2, Fas-Lのアロ応答抑制機構における役割を解明する目的で、それぞれの遺伝子KOマウスをドナーに用いて検討する。 ヒト末梢血リンパ球分画中のCD11b+B細胞は自発的にIL-10を産生しT細胞応答を抑制することが報告された。マウスではrIL-35の添加により抑制性B細胞が分化誘導されることが証明されたが、ここではrIL-35とTLRシグナル(CpG/LPS添加)によりmaive B細胞からIL-10/IL-35を分泌する抑制性B細胞へ分化誘導の可能性を解析する。抑制性B細胞のアロ応答への免疫抑制効果をMLR とヒト化マウスを用いて解析し、多機能抑制性B細胞の効果と比較検討する。 ヒトB細胞は、CD4+ T細胞によるCD40Lシグナルが欠落した条件下でIL-21が供給させると、形質細胞でなくgranzyme Bを産生するCD5+ cytotoxic B細胞へと分化することが報告された。免疫抑制効果をMLR及びヒト化マウスを用いて解析し、多機能抑制性B細胞の効果を比較検討する
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] FcγRの遺伝子多型が及ぼすリツキシマブB細胞抑制効果への影響2015
Author(s)
坂井寛, 田中友加, 清水誠一, 井手健太郎, 広瀬貴行, 田中飛鳥, 矢野琢也, 佐伯吉弘, 谷峰直樹, 大平真裕, 田原裕之, 石山宏平, 尾上隆司, 田代裕尊, 大段秀樹.
Organizer
第51回日本移植学会総会
Place of Presentation
熊本
Year and Date
2015-10-01 – 2015-10-03
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