2016 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム編集を用いた口蓋裂と歯の形成不全の病原遺伝子を探る新たなアプローチ
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15H02577
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山城 隆 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (70294428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒坂 寛 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (20509369)
伊藤 慎将 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (40633706)
三原 聖美 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (00551920)
中川 一路 京都大学, 医学研究科, 教授 (70294113)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 口蓋裂 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
口唇口蓋裂や歯の欠損・形成不全等の口腔の先天性疾患における病態の分子機構の解明は、将来の診断・予防・治療の発展のために不可欠である。一方、口唇口蓋裂や歯の形成異常は複数の病原遺伝子と環境因子が発症に関与する多因子遺伝性疾患である。そのため、多数の病原遺伝子の同定とともに、その分子間ネットワークを理解することが重要である。本研究はRunxシグナルをはじめとする口蓋裂と歯の形成不全が生じる分子機構の全貌を明らかにするとともに、新たな研究手法としての次世代遺伝子改変技術であるゲノム編集の確立を図るものである。特に、Crispr/Cas9システム(参考文献1)は、標的DNA配列を含む短いガイドRNAとCas9というDNA2本鎖切断酵素のみで二本鎖DNAを配列特異的に切断し、ここに遺伝子変異が導入できる。 昨年度は、従来の方法で当研究グループが所有するRunxシグナルに関わる遺伝子改変動物を用いた検討を行った結果、口蓋の癒合において、RunxシグナリングがStat3のリン酸化を制御することでTgfbシグナルを制御する新規のシグナルカスケードを同定した。そして、これに関連する遺伝子でゲノム編集で遺伝子改変を行うための標的分子の候補をほぼ決定した。その成果の一部は平成29年度の始めに報告する予定である。また、来年度にはゲノム編集によるノックアウトマウスに向けた遺伝子改変を開始する。また、培養細胞へのCrispr/Cas9による遺伝子導入を行うための基盤を整備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度、ノックダウンする予定であった標的分子について、他の研究グループがノックアウトマウスを作成し、その表現系を解析した結果が一部公表されたため、そのマウスの作成は取りやめた。しかし、Runx1シグナルの下流でStat3の制御を介した新規シグナルカスケードを同定し、さらに他にも関連遺伝子を同定したため、新たなターゲット分子が検討された。そのため、予定よりも、ゲノム編集を用いたマウスの作成が少し遅れている。しかし、既に新たな候補遺伝子は決定し、ゲノム編集によるマウス作製の準備に既に取り掛かっている、平成29年度には、早速、ゲノム編集を用いたノックアウトマウスが完成する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、ゲノム編集を用いたノックアウトマウスを作成し、その表現型の解析を行う予定である。また、培養遺伝子へのゲノム編集を用いた遺伝子導入の最適化を図る。
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Research Products
(6 results)