2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H02607
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
白石 典之 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (40262422)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本郷 一美 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 准教授 (20303919)
村上 恭通 愛媛大学, 東アジア古代鉄文化研究センター, 教授 (40239504)
小畑 弘己 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (80274679)
三宅 俊彦 淑徳大学, 人文学部, 教授 (90424324)
笹田 朋孝 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (90508764)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | モンゴル帝国 / 考古学 / 東洋史 / チンギス・カン / アウラガ遺跡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は13世紀初頭のモンゴル帝国の成立とその強大化の背景について、考古資料から明らかにしようとするものである。具体的にはモンゴル帝国の初代君主であるチンギス・カンが本拠をおいたモンゴル国、とくに東北部をフィールドにして考古調査を実施した。 5月にはダダル郡のヌツゲン・ウンドル遺跡で墓地の調査を行った。地表面の構造から12世紀ごろのモンゴル族の祖先の墓群と推定されたが、実際にはそれよりも古かった。しかしながら、先モンゴル期における当地方の状況を知る上で重要な知見を得ることができた。 8月にはモンゴル帝国の最初の首都であるアウラガ遺跡の発掘を行った。前年度から継続している大型政庁あるいは祭祀建物と考えられる第2建物を調査し、その具体的規模と構造の手掛かりを得た。これについては次年度以降も継続する予定である。なお、アウラガ遺跡に関しては廃棄遺構から採取した土の水洗を行い、当時の生活を知る上での基礎資料となる有機遺物の回収に成功している。 9月にはアルタイ山脈周辺の踏査を行い、当該期の鉄生産関連の新たな遺跡の発見に成功した。史料などからアルタイでは古くから金属器生産が盛んで、それがモンゴル高原の遊牧民族の興隆につながったと言われてきたが、今回の発見でそれを実証的に裏付けることができるようになると期待している。 6月には先行の科研の実績報告と本科研の中間報告的な意味をもつ著書を刊行できた。また、調査な速報的なレポートは、学会およびマスコミを通じて、その概要を報告している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アウラガ遺跡とヌツゲン・ウンドル遺跡の調査によって、モンゴル族の本拠があったモンゴル東北部において、モンゴル帝国成立過程の通時的後付けが具体的にできそうであることと、生産や技術など帝国の興隆のバックグラウンドとなる部分に関するデータの蓄積が順調に進んでいるからである。 ただし、当初目論んでいた英語論文による中間報告ができなかった。このことが反省点としてあげられる。その点で現在の進捗状況を「おおむね」と評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
まずはアウラガ遺跡の第2建物の調査を最優先に継続し、その機能を明らかにする。これまでの調査でこの建物はチンギスの治世に存在していたことが明らかである。帝国の初期の重要な建物であると想定できるからである。 あわせて、引きつづき当時の生産や技術の解明に寄与する製鉄遺跡の調査や食物残渣など遺物の解明も進めていく予定である。 さらに、本研究の終了が近づいているので、成果の発表の準備なども具体的に進めていきたい。
|
Research Products
(3 results)