2018 Fiscal Year Annual Research Report
Global dispersal and diversification in beetles with flight polymorphisms
Project/Area Number |
15H02637
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
曽田 貞滋 京都大学, 理学研究科, 教授 (00192625)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 紘士 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (00508880)
高見 泰興 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (60432358)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 甲虫類 / 全球的分散 / 飛翔多型 / 種多様性 / 分子系統 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)分析試料のサンプリング:オサムシ亜科,ハンミョウ亜科の系統的位置を推定するのに重要なムカシゴミムシ科をアメリカ合衆国西海岸において採集した.ハンミョウ亜科で未入手であった,Megacephala属とTricondyla属のサンプルを,南アフリカ,ベトナムの共同研究者の協力のもと採集した. (2)RNAシーケンスによる分子系統解析:外群を含め33種(個体)についてRNAシーケンスデータを取得した.内訳はCalosomina 1種,Carabinae 8種,Cicindelinae 11種,Silphinae 5種,外群7科8種(Dystiscidae 1種,Gyrinidae 1種,Haliplidae 1種,Noteridae 1種,Scaphidiidae 1種, Staphilynidae 2種,Trachynidae 1種).得られたデータについて,Trinityによるアセンブル・contig作成と,Yang & Smithの方法による,アミノ酸配列に基づくオーソロガスな遺伝子の探索・配列マトリクスの作成,最尤法による系統解析を行っている. (3)UCEシーケンスによる分子系統解析:近年開発された,UCE (Ultra-Conserved Element)を対象とした系統解析では,エタノール固定された標本から得られる微量のゲノムDNAからでも比較的多数のDNAシーケンスデータを取得でき,頑強な系統樹を得ることができる.この手法を試みるために,オサムシ亜科の約100個体からDNA抽出を行った.シーケンスは次年度に行う. (4)移動分散と集団遺伝学的分化:移動能力と集団分化の関係を解明するために,ツツキノコムシ科甲虫のOctotemnus属を対象として,分散能力,寄主キノコ利用(スペシャリスト,ジェネラリスト)に関連した集団遺伝学的分化パターンの違いを解明した.対象とした種群の分類学的再検討も行った(大学院生小林卓也との共同研究).得られた成果は論文として発表した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4年目までに,分析対象の甲虫3グループとその外群について,必須的な分類群の分析対象種を入手することができた.またこれまでのRNAシーケンスに基づく系統解析に加えて,UCEを対象とした手法でより多くの種を含む系統解析を行う目処もたっている.最終年度において,これらの系統解析結果に基づいて全球的分散・多様化過程を推定する目処がたっていることから,順調に進展していると言える.
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)シーケンスデータの取得:最終年度の前半において,オサムシ亜科のUCEのライブラリー作成を行い,シーケンスを行う.個体数は最大192を予定している.また,RNAシーケンスについては,今年度シーケンスが間に合わなかった少数のサンプルについて早期にデータを取得する. (2)分子系統解析:RNAシーケンスについてオーソロガスな遺伝子をまとめたシーケンスマトリクスを作成し,最尤法系統解析を行うとともに,複数の年代更正点を用いて分岐年代推定を行う.また分散・分断の歴史,後翅退化に関する形質復元を行い,各系統群の全球的分散と飛翔能力退化,種多様化の過程を推定する.UCEシーケンスの解析も同様に行い,とくにオサムシ亜科の属レベルの多様化の歴史を推定する. (3)論文作成:解析データに基づき論文を作成する.最終年度内の投稿をめざす.
|
Research Products
(2 results)