2016 Fiscal Year Annual Research Report
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15H02656
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
金子 修 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (50325370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永宗 喜三郎 国立感染症研究所, 寄生動物部, 室長 (90314418)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 原虫 / 休眠 |
Outline of Annual Research Achievements |
マラリア原虫は人に感染後、肝臓で数万倍に分裂した後に血中に放出され、その後は赤血球再侵入を繰り返して増殖する。最近の対策により熱帯熱マラリアは減少したが、血中の原虫に対する薬が効かない肝内休眠型を持つ三日熱マラリアが相対的に増えている。また、一つしかない肝内休眠型原虫の薬に対して抵抗性が出現し、薬剤開発が喫緊の課題である。ところが、三日熱マラリア原虫は培養ができず、肝内休眠型は薬剤スクリーニングも困難で、形態と休眠性以外の生物学的特性は何も分かっていない。そこで、本研究ではヒト肝臓を移植したマウスに、タイの三日熱マラリア患者由来の原虫を接種することで肝内休眠型三日熱マラリア原虫を得、接種直前と直後の原虫を対照群として、転写・メタボライトの解析を行い、肝内休眠型原虫の特徴と多様性を明らかにすることを目的とする。 平成28年度には、タイの患者から得た三日熱マラリア原虫スポロゾイトを接種したヒト肝細胞保有マウスから肝臓切片を調整し、質量分析顕微鏡解析を行った結果、アブシシン酸から予想されるシグナルを得た。一方、質量分析顕微鏡解析後にギムザ染色で原虫局在を検討したが、組織ダメージが大きく困難であった。そのため、質量分析顕微鏡解析前に原虫の場所を特定しておく必要があると考えた。予備実験としてmCherryを発現するネズミマラリア原虫を用いて蛍光ラベル肝臓ステージ原虫の局在と検出される植物ホルモンの局在が一致することを確認する計画を立てた。しかし、質量分析顕微鏡用に乾燥させた試料でのmCherryシグナルが明らかでなく、GFPを発現するネズミマラリア原虫を用いる準備を進めた。一方、スポロゾイト期原虫のメタボローム解析は十分な原虫数を収集することが困難なため行わなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
質量分析顕微鏡による解析を開始したが、質量分析顕微鏡解析により得られる位置データと原虫の位置データを同時に得るための条件検討に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
予備実験としてGFP発現ネズミマラリア原虫を用いて肝臓ステージの原虫の局在と検出される植物ホルモンの局在が一致することを確認する。蛍光色素で前標識した三日熱マラリア原虫感染ヒト肝臓保有マウスの肝臓組織標本に対して質量分析顕微鏡解析を行う。三日熱マラリア原虫の休眠体形成に対する植物ホルモンと植物ホルモン代謝阻害剤の効果を検討する。
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Research Products
(1 results)