2016 Fiscal Year Annual Research Report
Promotion of molecular epidemiological studies of H. pylori in Asia
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15H02657
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
山岡 吉生 大分大学, 医学部, 教授 (00544248)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ヘリコバクター・ピロリ / 国際疫学研究 / 胃癌 / 病原因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
アジア各国において、国際共同研究を推進して、胃十二指腸内視鏡検査を用いた疫学調査を実施し、1) ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の病原因子の解析、2) ヒトの疾患感受性因子の解明、3) ピロリ菌とヒトの相互作用と共進化の理解、を目的とする国際共同研究拠点の形成を目指す。胃癌に代表されるピロリ菌関連疾患の発症メカニズムを明らかにすることで、新規治療法の開発、胃癌発症率の減少、ピロリ菌とヒトの共進化の歴史・人類移動の解明など、世界の医学および予防医学の進歩、歴史、文化の発展に貢献することを目的とする事業を展開した。 本年度は、現地実地調査としては、8月にモンゴルおよびインドネシア、平成29年2月にはミャンマー、3月にインドネシアで内視鏡を用いた調査を行うことができた。さらに平成29年3月には、マレーシア(ボルネオ島)のサバ大学およびエリザベス病院で、共同研究の最終打ち合わせを行うことができ、平成29年7月ごろには内視鏡調査を行うことが可能となった。なお、モンゴルでは、南部ゴビおよび東部ヘンチでの調査で、これでモンゴルの中央部(首都)、西部、北部、南部、東部を網羅した形となり、現在論文をまとめている。また、インドネシアで、パプア(メラウケ)およびスラウェシ島(コラカ、パル)、マルク諸島(テルナテ)での調査を行い、やはりほぼインドネシアを網羅した形となった。また、ミャンマーでは、タイとの国境に近いモウラミャインでの調査で、以前にタイ側で調査を行ったマエソットとは、直線距離で数十キロたらずで、これらの領域での国境をまたいた調査ができたことになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、モンゴルでは、南部砂漠地域も調査を行いたいというレベルであったが、実際には南部のみならず、東部の調査も行い、国中を網羅、さらに国立がんセンターとも共同研究を結び、胃癌検体を100例近く得ることができたのは、予想以上の成果であった。また、インドネシアでは、これまでに19か所で内視鏡検査を行うことができ、予定をはるかに超える地域での調査を完了することができた。また、ミャンマーでの調査も行うことができ、さらにマレーシアでは現地での打ち合わせ、スリランカやパキスタンではメールでの打ち合わせで、各国での研究倫理申請の承諾を待つ状態にある。これらの調査で得られた検体は、ピロリ菌の培養や、病理組織の評価もすでに済ませており、ピロリ菌に関しては次世代シーケンサーを用いた検討も進んでいる。 実際に、本年度だけでも国際医学誌に多くの論文を発表することができ、タイおよびインドネシアでの調査報告がそれぞれ2編、ネパール、バングラディシュでの調査報告がそれぞれ1編となっており、現在さらに論文作成中である。 これらを評価すると、当初の計画以上に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
新たな現地調査としては、ブータン(辺境)、マレーシア(ボルネオ)、スリランカを計画している。現在すでに10カ国以上からの多くの検体が集まっており、ピロリ菌培養も終了し、次世代シーケンサーの生データも集積されている。平成29年度は、これらの詳細な解析に今まで以上の労力を費やす予定で、大分大学に設置されたサーバーを用いて、より詳細にデータ解析を行い、論文発表を目指したい。また、宿主側因子の解析は、東京大学および国立遺伝学研究所との共同研究で進めているが、平成29年度中には、成果をだして学会発表を行う予定である。
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Research Products
(65 results)